私が借りてきたのは、ごく普通の光文社新書の表紙(アランちゃんがポツンと立ってるやつ)でしたー。
「はじめに」の「ドイツ語圏にはロクな画家いねーし」みたいな記述には面食らった。

トップバッターは《マクシミリアン1世》。先日読んだ『ミケランジェロとメディチ家の真実』に、デューラーはザクセン選帝侯フリードリヒ3世に(ルター共々)擁護されたみたいな記述があったけど、ここではマクシミリアン1世の贔屓にも預かっている。

絵画だけで、かくもスムーズに「ハプスブルク家650年の歴史」を語るとは、お見事です。

2023年3月23日

現代に割かれているページが多くてビックリ。後ろ半分が20世紀~です。昨年の12月に出版された新しい本だからってのもあるんでしょうが、そっかー、ブレグジットはもう歴史の一部なのかあ。今年ももう10月だしなあ…早い速いなあ。んでこうやって俯瞰すると、私がちんたらと学生時代を送っていた時期(1987-91)って、ヨーロッパ激動だったんじゃんか、って唖然。嗚呼、やっぱり私ってつくづく凡人だわ…(涙)

2021年10月1日

ネタバレ

面白かった。
さすがシーラッハ。ドイツ屈指の現役弁護士の底力。
ミステリとも文学とも分類不能で、必ずしも法廷が舞台でもなく。「シーラッハ」一人で1つのジャンルみたいだ。

どの話も、シリアスな状況であまり楽しくない事件があって幸せとは言い難い結末がつくのに、淡々と語り進められて、重いのに読み易い。翻訳にも恵まれているのかな。
ただ読後感は、我が身に引き寄せて考えさせられるという感じではなく、世の不条理さを突きつけられて諦観を強いられるといった感じ。どっちがいいとかじゃなくね。
その中でも「奉仕活動」の一遍は、現実を突きつけられて出鼻を挫かれそうな新米弁護士の話で、多少はセンチメントを感じられるかな。

2020年11月30日

行進は続く。最後尾の前に広がるのは、15万人分の排泄物。マジか!そしてスエズが行く手を阻む。行進は迂回。エジプトから紅海をゴムボートで渡り、ヨルダンとイラクでは地元の難民を吸収して35万人に行進は膨れ上がり(イスラエル、レバノン、シリアを避ける辺りが妙に現実的)、そしてトルコと進む。トルコは迅速な国内通過用にバスを用意。そしてオーストリアへ。ドイツ国境は目前。しかしながら悲惨な結末。私、圧死だけは避けたいわ…。

ヨルダン政府とイラク政府が自国の難民キャンプのそばを通ってほしい…と要請する辺りが、実際のところ充分に効果が期待できそうでイヤらしいが、現実にはありそうだわ。。。

2020年6月19日

ネタバレ

生物としての動物に対する程、ペットに興味も関心もないワタシ。ろくに実際の動物と触れ合った経験もないくせに、こういうもの読むのもどうかと思ったが、全く新しい世界、刺激的な経験だった。
ちょっと性愛に焦点を当て過ぎな気がするが、長年にわたるDV被害者としての経験からの立直り、というアプローチが始まりだからかな。

2020年6月9日

ネタバレ

うーん。上巻の方が面白かったな。「国家的危機の帰結に影響する12の要因」しばりが、個人的危機に絡めるのに少々無理があって苦しい感じ。個々のケーススタディは楽しませていただきました。

しかし移民流入がほぼなく、初婚年齢は上昇し、出生数に占める婚外子率が極端に低い(2%)…我が国の少子化問題は、他の先進国より格段に深刻な条件下にあるって、改めて気付かされた。

更に人口減少の問題。2010年の1億2806万人が、2015年に1億2709万人に減少した日本の人口。今秋の国勢調査が怖い…。ま、こっちは一概に少ないのが悪いって話にはならないが。

2020年2月6日

こういう本の読後にドイツ行きたいなあと言っても…動機が不純過ぎるかしらん(笑)
勿論、由来持ちの「変な名前」もあるけど、割合に直線的な命名が多いので、ちゃんとドイツ語がわかれば、どういう食べ物か想像がつくものも多い。
巻末の「東フリースラントの紅茶文化」は全く初耳。「ユネスコ無形文化遺産登録」とかって日本人受けしそうなのに、関連図書が見つからないのは何故??

2019年1月15日

ネタバレ

フランスやイタリアに比べると、極端に少ない貴重な貴重なドイツ菓子の本。でコレはタニアさんちのスイーツだな。レシピは丁寧です。

2018年12月18日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2018年12月17日]
カテゴリ 2018/12

ミステリとは言い難いが、寒天の輸出禁止の謎は目から鱗でした。そっかー。
「キングコング」に「カサブランカ」。戦時下の映画製作の裏舞台は、理想と情熱と現実と打算のせめぎ合い。国家と組織と個人の思惑が巧妙に絡んでて、映画そのものよりよっぽどドラマティックだ。

2018年7月30日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2018年7月28日]
カテゴリ 2018/07

ドイツ女性の恐れたロシア兵とロシア女性が恐れたドイツ兵、どっちがより悪いとか酷いとか残虐とかって話じゃない。戦争の傷跡を老婆になるまで引き摺り続ける女性は決して少なくないに違いない。
ときに、作者のデビュー作、モーツァルトのタイムトリップ物って、日本でウケると思う。翻訳希望‼︎

2017年3月28日

ネタバレ

いかにもパンキョーの教科書っぽいスタイル。
今時だなあと思うのは、切り口にサブカル使いますと堂々宣言してあること。マジかよ〜と思いつつ読み進む。
さほどでもなくほっとする。つーか執筆陣はいいオトナな訳で。
マンガやアニメやゲームより、映画のヒキが圧倒的に多いです。特にナチスとヒトラー関連の充実度はマニアックなくらいに高し。もう、「近代ドイツ映画史」ノリ。
「エリザベス」も「ルートヴィヒ」も観たけど「ビスマルク」観てないわ、などと思い当たったり。そうかと思えば、ネーナの「ロックバルーンは99」なんて、我が青春〜!懐かしい〜!

2016年11月24日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2016年12月2日]
カテゴリ ➖2016/11

地味にハンナとパウルの親父、老へーファーがいい味出している。
元はと言えば、テレーゼがヴィルヘルムの求愛をかわすのに、"前線にいる最愛のヒト"を捏造したのが発端だよね。そりゃ、最初に画策したのはアルヴィーネだけど。
フリートヘルム・ルビシュに自分の写真を送ったりしなければ、戦後会いに来ることもなかったろうし(でもっていきなり会いに行った相手に撲殺されるなんて、気の毒な人…)、息子ロベルトが調べに来ることもなかっただろうし。
あれ、息子がいるってことは?
ヴィルヘルムって、自分を撲殺しようとしたとはいえ、女房に死体を押し付け、ID奪って逃走して、また結婚したってことよね。なんじゃこの男。

2016年2月14日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2016年2月14日]
カテゴリ ➖2016/02

驚異的な嗅覚を持つだけでなく、あらゆる匂いを自分の中で再現させることのできるグルヌイユには、もはや現世は自分の世界ではない。人里離れた山奥の岩穴で擦り切れた毛布にくるまりながら、自分の王国へ意識は馳せる。唯我論の虜のように。光瀬龍「百億の昼と千億の夜」のゼンゼンシティーのコンパートメントで眠るA級市民のように。
・・・・ってちょっと格好良く始めてみました。
ミステリだと思ってたんですけど、最初の殺人は3/4過ぎた辺りで起こり、50頁くらいで犯人捕まります^^;;
嗅覚絡みのミステリってーと、有栖川「双頭の悪魔」ですね。あれは大作だったなあ~「鼻」は芥川、曽根圭介の角川ホラーも面白かった。シラノもいるなあ。梨鼻のソーネチカなんてのも~
訳者あとがきに「私の訳書ではよく売れた」とあったので誰じゃ?と見たらば池内紀・・・あれ?これ、フランスものじゃなかったの・・・?相変わらずもおマヌケな私・・・

2015年3月2日

ネタバレ

ネタバレ えー、そういう事⁉︎ すっかり騙されちゃった。後半、残りページ数見ながら一体どうするのとハラハラしていましたが、まさかこう来るとは。 直接「事件」とは関係ない、生い立ちダラダラの第1章は、無駄なし文章が売りのシーラッハにしては?だったけど、この伏線だったのねー あー、やられた。面白かった。 堪能しましたー
(*^◯^*)

2015年2月13日

ネタバレ

岩波文庫の実吉捷郎訳「ヴェニスに死す」はピンですが、
角川文庫の浅井真男訳『ベニスに死す』は
佐藤晃一訳「トリスタン」が並録です。

だからお買い得って論法にならないのは勿論ですが。

でもこれ、きっと、ビョルン・アンドレセンのジャケ買い
したんだよなあ、きっと…

とあるサナトリウムで美貌の夫人ガブリエーレに横恋慕した
病弱な作家シュピネル氏が実業家の夫に凹ませられる…
という、「『魔の山』のスピンオフ」、ハンスの知らない所で
こんな三文芝居もあったのよ、と言っても通りそうな話です。

2014年9月28日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2010年12月25日]
カテゴリ ➖2010/12
ツイートする