モームの文章は流麗で、読ませる。個人的にはこの作品に登場する語学(フランス語)講師の描写が好きだ。 よれよれの服を着た、風変わりな冴えない男。ただ、憎めない何かがある。

生きる意味とは何だろうか?主人公フィリップは詩人のクロンショーからペルシア絨毯をもらい、人生の意味を暗示される。結局人生の意味などないかもしれないが、素晴らしい経験も辛い経験も、喜びも苦しみも、全てその絨毯の豊かなデザインになっていくのだと悟る。

心に残る一節である。この長い小説を原文で読み終えた時の達成感は未だに忘れられない。とにかく、モームの文章に魅せられた。

ネタバレ
読書状況 読み終わった
タグ

SOASで学んでいた時、Chinua Achebeを知った。ナイジェリアのイボ人作家で、アフリカ文学の父と呼ばれている。ナイジェリアではハウサ、ヨルバ、イボが三大民族(もちろん、他にも様々な民族がおり、その数は250以上)とされている。それだけ取ってもナイジェリアが多様性に満ちていることがわかる。もちろん、「アフリカ」を一括りにすることなどできない。邦題は『崩れゆく絆』。アメリカで起こっていることを少しでも俯瞰して捉えられるよう、James Baldwin、Toni Morrison、Malcolm Xを読み始めた。この機会にアチェベも再読しよう。

866ページ、長編ついに読了。

Paul Austerは大学のゼミで扱ったぐらい好きな作家で、ほぼ全作品読んでいる。彼の魅力は何と言ってもその文体であろう。音読するとそのリズムの良さが際立つ。今回の作品は途中で挫折しかけたこともあるが、2年前ぐらいから少しずつ読み進めてきた。小説を読むときには作品のプロットというよりも文章そのものに惹かれてしまう傾向がある。

英語にはwordsmithという言葉があるが、彼にぴったりの形容だと思う。彼こそ言葉の職人である。

2020年6月9日

読書状況 読み終わった [2020年6月9日]

ポストコロニアリズム理論の古典であり必読書。

2020年6月7日

読書状況 読み終わった [2020年6月7日]
タグ

1920年代のパリを知りたいのならこの本しかないだろう。27の時に1年間パリにいた。ヘミングウェイが言う通り、今でもパリは自分の中に留まり続けている。

2020年6月6日

読書状況 読み終わった [2020年6月6日]

誤解×誤解=理解

昨年初めてワシントンD.C.を訪れた。その際恩師に紹介いただき、世界銀行の方にワシントンの本社でお会いすることができた。全てのお話が興味深く、大きな刺激をいただいた。最も勉強になったのは、多国籍の人達のマネジメントの仕方であった。お会いした方はプロジェクトのリーダーをされており、色々な国々の方との付き合い方の難しさ、奥深さを語ってくれた。その方にお勧めしていただいた一冊の本がErin Meyer氏のThe Culture Mapである。

この本の要諦は、文化的なバックグランドに応じて人との接し方、マネジメントの仕方を変えて行かねばならないということ。内容が素晴らしかったので、マイヤー氏本人を世界銀行に招待してワークショップを開かれたとのことであった。

帰国後、東京の丸善で早速本を購入。ビジネス書のセクションに平積みされており、ベストセラーになっていた。自宅に帰ってから読み始めたが、これが面白い!英語も平易で読みやすく、一気呵成に読み終えた。

著者はアメリカ人でフランスの有名なビジネススクールINSEADで教鞭を取る。一番印象に残ったのは、アメリカ人の上司によるフランス人の部下のマネジメントの例である。この本によると、アメリカでは、本当に重要なことは、最後の方でさらっと述べるというのである。例えばそれがその人に直して欲しいマイナスの点であるならば、より一層気を遣って、オブラートに包んで最後に言わなければならない。フランスでは大事なことは最初に述べる。この本では、異文化の差異による誤解の逸話として、フランス人の部下がアメリカ人の上司に褒めちぎられ、当然自分は素晴らしい業績を上げていると思っていたが、実際は違ったという話が登場する。しかし、アメリカ人の上司に言わせればまだ本題にさえ入っていなかったのである。

この本を読了して思い出したのは、個人的な苦い体験である。仕事柄アメリカ人の同僚も多くいる。前職では、多国籍の人達のマネジメントにも携わっていたことがある。一度、アメリカ人の同僚がミスをしたことがあった。その際、私はアメリカというのは直接的なものの言い方を好むのだろうという憶測に基づいて、マネジメントとして、彼の間違いをメールでストレートに指摘した。婉曲的で、遠回しな表現一切なしである。その後その当人から直接謝罪はあったが、個人的に話があるという。そこで付いていってみると、彼は神妙な面持ちでこう言う。「僕がしたことは間違いなく悪いことだ。ただ、あのような直接的な非難は今までの人生で受けたことがない。ショックだった。アメリカでは決してああいうものの言い方はしない」。その時の体験は今でも鮮明に覚えているが、この本を読んで、すとんと納得がいった気がした。

その後、気の置けないアメリカ人の同僚にこのことを話すと、アメリカ人は本当におだてられたり、褒められたりすることに慣れているという。そういえば、アメリカに行った時、ツアーに参加すると、ツアーガイドは、質問をした人に対して、That’s a good question! とオーバーリアクション気味に褒めちぎっていたことを思い出した。質問の中身ではなく、質問したこと自体が誉められるべきことなのだろう。

一方、フランスの一般的なテストの採点方法は100点満点ではなく、20点満点である。パスするためには半分の10点さえ取れれば良い。14点(100点であれば70点)を取ればもう万々歳である。そもそもデフォルトの状態で、自らに厳しいので、早く悪いところを教えて欲しいという思いもうなづける。イギリスに留学していた時に、何人かのイタリア人の友人がイギリスの採点基準が厳しすぎると文句を言っていたことを思い出す。イタリアは自国では非常に甘い採点基準になっているらし...

続きを読む

2020年4月3日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2020年4月3日]
ツイートする