七帝柔道記

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著者 :
いけださん 本・雑誌   読み終わった 

時代遅れの昭和スポ根。
ただただ暑苦しく壮絶な地獄の日々が描かれる。
まさに「漢」と書いて「おとこ」と読む。そんな世界。
とにかく面白すぎて、一気読みしてしまった。

「練習量がすべてを決定する柔道」と呼ばれる、高専柔道の流れを引き継ぐ七帝柔道。
それは、いわゆる「柔道」として知られている「講道館柔道」とは全く違う世界。
旧帝大にのみ引き継がれた「異端」として、ひたすらに寝技を磨き、七帝戦で勝つためにすべてを捧げる日々。

「講道館」とはルールも違う。
試合は15人の団体戦。勝ち抜き制。
「抜き役」と言われるポイントゲッターと、「分け役」というディフェンダー。
しっかりとした役割分担に基づき、自らの役目を、文字通り死ぬ気で果たす。

自分は一応体育会出身ではあるものの、甘ったれたへっぽこだったので、ここで語られるような、暑苦しいガチのスポ根の世界は、正直言って分からない。
ときに、眉をひそめるような描写もある。
けれど、人と人との繋がり、一つの目標に向かって、すべてを捨てて一心に取り組むその姿勢は眩しくて、何度か落涙した。

金澤主将とのやりとり。
そして永田さんのスピーチ。
ここは本当に感動して、落涙どころか嗚咽も出た。

著者の筆力が素晴らしいの一言に尽きると思う。
この壮絶な世界に、身を置いているかのように感じさせてくれる。
自分だったら一瞬で退部してしまうであろう状況を、最後まで経験させてくれる。
まさに、読書の喜びそのものだと思う。

ちなみに、この物語に書かれているのは30年ほど前のお話。
現代でも七帝柔道は引き継がれてはいるものの、練習はずいぶんマイルドになり、「カンノヨウセイ」も廃止になったとのこと。
それでも、旧帝大というエリート集団の片隅で、「高専柔道」に打ち込んでいる学生たちがいる。
きっと彼らは、唯一無二の経験をしているのだと思う。

著者の作品は他にも幾つか出ているので、読まねば。

レビュー投稿日
2019年7月14日
読了日
2019年7月14日
本棚登録日
2019年2月24日
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