もし自分に今家族がいなければ、僕を社会的に動かす原動力は何になっていたのだろうかと考えました。
社会や物事を大きく動かすのは人びとの怒りだともいわれますが、一人の人間として行動の源も結局怒りなのではないかと感じました。
鉄は村八分からはじまり、恋人を殺され、職場を追われ、仏にすがっても結局そこに救いはありませんでした。著者はこの小説で何を表現したかったのかと考えたとき、結局は怒りなのだと感じました。大切な人を亡くしたときには大きな喪失感や無力感がありますが、それがうまく自分の中で消化されないときに怒りへと変化しく心理はなんとなく理解できました。
しかし、一旦沸き起こった怒りが行動で昇華されなかったときには絶望が待っているという人の危うさも感じました。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
フィクション
- 感想投稿日 : 2013年5月11日
- 読了日 : 2012年5月11日
- 本棚登録日 : 2012年5月4日
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