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「りん、と風鈴が鳴った。
縁側に差し込んでいた西陽はとうに薄れて、外はぼんやりと霞んでいた。」
鈍器と名高い京極堂シリーズ。
関口、京極堂、榎木津、木場が、20ヶ月妊娠し続けている、夫が密室から消えた、呪われた久遠寺病院の謎を解く。京極堂達の会話も楽しいし、風鈴や目眩、鳥居などが出てきて視覚的心理的な雰囲気、姑獲鳥、ホムンクルス、カエルの胎児といったおどろおどろ感、適度な改行による文体や言葉で雰囲気の出し方がとても良かった。
最初の訳の分からぬ醜聞と怪異の塊であった謎たちが、(実現可能性はともかく)理知的に納得できる形で鮮やかに解き明かされていく様が良かった。
読書状況:読み終わった
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書籍
- 感想投稿日 : 2018年5月25日
- 読了日 : 2018年5月25日
- 本棚登録日 : 2018年5月25日
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