近いはずの人

著者 :
  • 講談社 (2016年2月17日発売)
3.10
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本棚登録 : 320
感想 : 52

★ざっくりとしたあらすじ
不慮の事故で妻がなくなり、突然のことで呆然とする男一人残された旦那が妻の携帯電話のロック解除に日々チャレンジしながら、明かされてゆく妻の本心と男の思い込み。
後悔先に立たずの事例を表したような、どうにも救いようのないだんまり男のふらふら劇です。

★本の感想
ご、ごめんなさい。面白くなかったです。
淡々とした小説で、妻が死んだあとの男の人はこんなものなのかなと多く疑問が残りました。

一般的に男性は最愛の人が亡くなると、精神的にぼろぼろになるときいていたので、主人公はお酒を飲んでも思考はしっかりしているので、ずいぶんと落ち着いた男性だなと思いました。

男性が最愛の妻を不慮の事故で、しかも若くして無くしたとあれば、こんなに冷静に受け止められるはずがありません。主人公が現実的な思考の女性ならまだわかりますが、男性はもっとぐちゃぐちゃに人生まで崩してしまう人が大多数だと感じます。

それぞれのキャラクターが個性的なので、もっと活躍する場面を読みたいと感じました。
特に、妻の悩み相談役だった栄人のキャラクターは強烈な印象でした。
栄人は物事をはっきりといい、一見冷たい印象ですが、亡くなった絵美に正面から対応した態度には好感が持てます。事故後に栄人の会話でしか絵美の様子が伝えられませんでしたが、絵美が栄人に悩み相談していた過去の情景は回想の形で読みたかったです。
もっと物語の前編から絡んで、主人公の北野を翻弄して欲しかったです。
男性の嫉妬や思い込みがもっと表現されていたら、素晴らしかったのではないかと感じました。

主人公の北野がどこにでもいそうな思い込みで判断して、黙ったまま時が過ぎるのにまったく気がついていない人物で、一般的にダメ夫と言われる典型。
多くの男性が小説を読んで、自分もそうかもと向き合うきっかけになることを祈ります。
本書を読んでいてとてもいらいらしました。
黙っていてもいいことはないと、身に染みてわかってもらうために世の男性にぜひとも読んで欲しいです。

女性の私からしたら非常に頭にくる主人公で、事故で亡くなった絵美が身近な男性に寄りかかりたくなるのはごもっともと思います。
北野が高校の時に思いを寄せていた幹恵と上手くいくのは腹立たしく感じましたが、きっともう同じ過ちはしないのだろうなとも感じました。
どうしてもなくなった妻の絵美視点で読んでしまうので、最後までイライラしっぱなしでした。

視点を変えて読めるようになれば違った面白さがあると思いますが、人生修行が足らなくてまだ私には無理です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文芸
感想投稿日 : 2016年3月11日
読了日 : 2016年3月11日
本棚登録日 : 2016年1月3日

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