退任を余儀なくされた健康器具会社のCEOが、ひょんなことからしがないイタリアンレストランに転職し、利益が上がるレストランに変貌させるまでの物語。
内容はよくある米国発のビジネス啓発小説。 主人公が物語の中で難題に直面し、それを経営的手法を用いながら解決していくというもの。
本書でテーマとなっているのは、如何に従業員のモチベーションを上げるかということ。どんな職種でも惨めな気持ちで仕事をしている従業員は伸びることが無く、それが会社業績にも反映される。逆に社員に自分の仕事に意義と満足感をもたすことが出来れば業績アップにつながる。
仕事を惨めにする要因は以下の3点ある。
1) 匿名性
2) 無関係
3) 無評価
匿名性とは、従業員を上司が個人として見ていないこと。 ある役割をこなす代替可能な人員と見なされた場合、従業員はヤル気を失う。 上司がきちんと社員に関心を持ち、個人として興味を持ちながら対応する必要がある。
無関係とは、自分の仕事が他の人に影響を与えていない状態を示す。 つまりは自分が「必要とされていない」と感じること。 従業員の仕事ぶりが誰or何にどんな影響を与えているかを示すことにより、必要であるという実感を持たすことが出来る。
無評価とは、読んで字の如く成果に対する正当な評価をしない、若しくは評価するシステムが無いこと。 その様な状態の時に従業員はやる気を失う。 自分の成果が決められた基準(その時の状況で変化しない基準)で評価されることが肝要。 「無関係」ともリンクしているが他人に良い影響を与えている、助けているという事実を認識させることも評価といえる。
本書が語りたいテーマは組織のマネジメント手法という点で非常にためになったが、その反面わざわざ物語にする必要があるのだろうかと疑問も残った。 いつも思うのだがテーマを語るために物語形式にしている為、物語自体が薄っぺらくわざとらしく感じてしまう。
実は本書、巻末の「解説 – 3つのサイン」という所だけを読めばエッセンスは十分理解できるのである。
- 感想投稿日 : 2011年11月21日
- 読了日 : 2011年11月21日
- 本棚登録日 : 2011年11月21日
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