ロックバンド・ニルヴァーナを率いていた、カート・コバーン。彼が死の直前に、信頼するジャーナリストに対して語ったインタビューのテープが、生前辿った場所を収めた映像共に延々と流れる、というもの。幼いときの両親の離婚。そこに端を発し、新たな心の拠り所を見つけては、しばらくするとそこから逃げ出したくなり、自暴自棄―の繰り返し。そんな中で、「向き合える家族がほしかった」という素朴な一言。彼が最も望んだものは、ただ「赦される」ことだったのかもしれない。劇的な死で天才的な表現者として祭り上げられてるけど、彼自身神格化されることに相当違和感を感じていた様子。確かに、自分をなんとか肯定したいとあがいてたその横顔は、普通に生きてるフリしながらどこか歪みを抱えてるあたしたちと何が違うというのだろう。たぶん、それを昇華する表現方法に出会えるか否かの違いくらいでしかない。もし彼が神だったとしたら、それは赦しをもらえなかった自分を自殺という方法で裁いた、まさにあの瞬間だけだったのではないか。
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カテゴリ:
映画(DVD)
- 感想投稿日 : 2008年3月9日
- 読了日 : 2008年3月9日
- 本棚登録日 : 2008年3月9日
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