猟奇殺人を犯した元少年Aへの私的制裁の是非という重いテーマの作品。荒削りだがこれがデビュー作とは思えない巧みなプロットと伏線回収の妙がある。序盤からグイグイ読ませてくれるが、中盤以降は失速し、終盤は盛り上がりを欠く展開。物語の落とし所自体は然程悪くはないが、人間ドラマの書き込み(特に元加害少年と被害者家族)が圧倒的に不足しており、テーマの重厚さに反したライトな作風がちょっと残念。尤も、この題材は取り扱う際の【さじ加減】が非常に難しいのだけれど。装丁は単行本のイラスト画の方が不穏さを醸し出していて好きです。
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- 感想投稿日 : 2020年11月27日
- 読了日 : 2020年11月23日
- 本棚登録日 : 2020年11月27日
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