真冬の北海道の広大な大地に広がる曇天の空模様を連想する作品だった。谷地眼で消えた弟、刑事となった姉、湿原での殺人事件、被害者が固執した自身のルーツ、樺太からの引揚者、捜査線上に浮かぶ顔の無い女―。全てが複雑に入り混じり、濃密で大河的な人間ドラマが完成する。サブタイトルで警察小説をイメージすると私の様に少々面食らうかもしれない。不明瞭な犯人の動機だが、母への免罪を【代替品】に投影した因果だったのだろうか。自身の納得なしに前へは進めない物事を誰しもが抱えているのかもしれない、例えそれが誰かを傷つけようとも―。
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- 感想投稿日 : 2018年9月30日
- 読了日 : 2018年9月30日
- 本棚登録日 : 2018年9月30日
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