自分的にはマット・リドレー『赤の女王』からの二作目。
『赤の女王』がとても面白かったので。
面白さ、とっつきやすさで言えば、『赤の女王』の方が自分的には良かったかな、と思うが、本書もとても興味深い。
テーマは、「生まれか育ちか」。
人は、本テーマに関わらず、二元論が大好きで2つのうちどちらかにカテゴライズしたがる。だがどちらも影響するんだよ、というのがメインメッセージ。実例やこれまでの研究結果などとともに何故どちらもなのか、といった根拠を展開していく。
持論と書いたが、私から見ると充分に客観的で納得できる主張で、読んでいてストレスがない。
展開される過去の研究結果や実例もわかりやすく説明されているため(それは翻訳者の功績も大きいと推測される)、専門的な事柄を扱っているにもかかわらず、読者も置き去りにされることがない。
『やわらかな遺伝子』というタイトルは、とてもアイキャッチーで美しいタイトルで秀逸な言葉の選択だなと個人的には考える。
原題が『Nature via Nurture』ということで、初めこそ「全然違う!」と感じたものの、巻末の変更の理由を読んで、原題から直訳する際のもどかしさを理解をした。であれば、いっそきれいなタイトルに変更するのは一つの選択であろう。
ただ、”やわらかな”という表現が、訳者独自の理解に基づいている気がして、そこが若干モヤモヤするところではある。
だが、そういったことは些末な点で、とても面白く人に進められる良書であることは間違いない。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ノンフィクション?
- 感想投稿日 : 2023年9月12日
- 読了日 : 2023年9月12日
- 本棚登録日 : 2023年9月12日
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