サイコパス (文春新書)

著者 :
  • 文藝春秋 (2016年11月18日発売)
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タイトルがアイキャッチすぎるのだけど、中野信子ということで購入。

最初は「何故中野信子ともあろう人が、こんなタイトルの本を書いたんだろう?」 
と思ったんだけど、よく考えると、
「サイコパス」という言葉はあまりにも一人歩きをしているので
(私がアイキャッチすぎると思うくらい)、
それを権威のある人が正しく説明をする、というのは良い試みなのかもしれないな。

難易度としては、
専門外の人もわかるように平易に書いてあるのだけれども、
必要とあれば専門用語も使い、程よい。
有名な事例、これまでされてきた研究、それによってわかったこと等淡々と書かれている。
客観性が求められる内容なので淡々としていて当然なのだが、
それはまた、ともすれば「サイコパス=犯罪者予備軍」という
単純な図式に陥りそうな危険性への注意のようにも捉えられる。

脳の機能の問題が、心理的治療で影響を受ける、というのは興味深い
(実際はこの治療はうまくいっていなかったが、
試すということは効く可能性があるということだ)。
環境等で脳への損傷が可能だということは、逆もまた然りか。

またサイコパスがこれまで生存競争に勝ち残っていた理由も興味深い。
ランダムな突然変異みたいな扱われ方が多いけど、ちゃんと理由があるわけだ。

サイコパスという存在は
集団生活に於いては異端で問題行動を犯す可能性が高いけれども
必ずしも犯罪を犯すわけではない、
という認知の助けになれば良いと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: その他
感想投稿日 : 2018年8月19日
読了日 : 2019年1月6日
本棚登録日 : 2018年8月19日

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