お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)

著者 :
  • 幻冬舎 (2017年11月30日発売)
3.81
  • (395)
  • (490)
  • (366)
  • (102)
  • (31)
本棚登録 : 6168
感想 : 627
5

”本当にお金や経済が作り出す課題を解決したいと考えるのであれば、お金に自らがくっつけている「感情」を切り離して考えなければなりません。よりたくさんのお金や経済を動かしている人ほど、お金を紙やハサミやパソコンと同様に「道具」としてみています。そこに何の感情もくっつけていません。一方でお金をうまく扱えず困っている人ほど、お金に特別な感情を抱いていることが多いです。それがないことによって起きる困窮や不安からお金に感情をくっつけてしまい、道具以上の意味を感じてしまいがちです。お金や経済を扱うためには、お金と感情を切り離して一つの「現象」として見つめなおすことが近道です。”

図星でたじろぐ。07年に社会に出た若者なのに、前著に続き相変わらずこの達観ぶりに驚かされる。いやその観方こそがまさしく老人のバイアスか・・・

[more]<blockquote>P57 長く運営されることで徐々に特定の葬に利益が滞留し始めると、当然それ以外の人の間で新しいシステムの誕生を望む声が高まっていきます。最初から完璧なシステムを作ろうとせずに、寿命が存在することを前提にし、寿命ウが来たら別のシステムに参加者が写っていけるような選択肢を複数用意しておくことで、結果的に安定的な経済システムを作ることができるようになります。

P58 共同幻想が寿命を長くする−参加者が共同の幻想を抱いている場合、システムの寿命は飛躍的に伸びます。ここであえて「幻想」と表現したのは、絶対的な正しい価値観というものは存在せず、時代によって変化する流動的なものだからです。反対にいえば「世界を変える」とは、全時代に塗り固められた社会の共同幻想を壊して、そこに新しい幻想を上書きする行為にほかなりません。

P136 (膨大なデータの蓄積で進む自動化とネットワークによって進む分散化)この2つが混ざった時に起こる「自律分散」が多くの産業のビジネスモデルになる

P147 本来お金は価値の交換・保存・尺度などの役割を持っていて、銀行も証券も産業や人々の活動をサポートする存在でした。お金はそのツールにすぎませんでした。徐々に「お金を増やす」という手段の部分が強調され過ぎるようになり、結果的に実体経済や人々の暮らしと全く関係ないところでお金だけが動くようになっていきました

P174 なぜ多くの人が評価経済や信用経済に対して違和感を抱くのかというと、今話題になっている大半の仕組みが「評価」や「信用」ではなく「注目」や「関心」にすぎないから

P200 もしお金が時間の経過とともに消えていくとしたらどうでしょうか?時間そのものが通貨だった場合は、保存できないうえ、どうせ使わなければ自然消滅するので、これを使って何かをしようと考える人が増えるはずです。「若者は時間があるがお金はなく老人はお金はあるが時間がない」と言われますが、時間が通貨となる経済では、若者は時間とお金の両方をもって好きなことにチャレンジできるようになります。

P206 トークンネイティブの世代は、生まれた瞬間からビットコインやブロックチェーンに当り前に振れて使いこなすことができ、今のわたしたちとは全く違う視点でお金や経済のことをとらえていることでしょう。デジタルネイティブ世代はトークンネイティブ世代が作るサービスが理解できなくなり「規制が必要だ」という話をしているかもしれません。
人間は自分が生まれた時に既に存在したテクノロジーを自然な世界の一部と感じる。15歳から35歳の間に発明されたテクノロジーは新しく営k歳ティングなものと感じられ、35歳以降になって発明されたテクノロジーは自然に反するものと感じられる(ダグラス・アダムス)

P239 現状でも理論的には、国家の役割をすべて電子化してテクノロジーによって代替できてしまう土台は出来上がりつつある。あるいはグローバル巨大IT企業が実質的には国家の役割を担いはじめる未来。
</blockquote>

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本・雑誌
感想投稿日 : 2018年10月18日
読了日 : 2018年5月28日
本棚登録日 : 2018年10月18日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする