「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本
- 柏書房 (2019年4月26日発売)
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感想 : 47件
近代的な物語の作法ができあがる前の「明治娯楽物語」がどのようなものだったのかを、実際の作品と共に紹介する。横田順彌「日本SF古典こてん」にテイストは近い。横田のは「SF」だけど、こちらは娯楽小説全般と広範にわたっている。
中に登場するお話の荒唐無稽さもおもしろいのだが、それを紹介する著者の視点がよい。単に「ツッコミ」視点で面白がるのではなく、当時の世相や文学史的な観点を説明し、なぜこの作品が受けたのかをしっかり分析してくれるのだ。
ここで登場する「明治娯楽物語」は、いわゆる「大衆小説」と呼ばれるようなジャンルが発展するにともない、消えていくのだが、個人的には戦後の梶原一騎作品や貸本マンガにエッセンスが受け継がれているのではないかと思った。ある意味では、オタク的感性の源流な気がする。そういうことを考えさせてくれる良作です。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2019年5月17日
- 読了日 : 2019年5月17日
- 本棚登録日 : 2019年5月7日
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