「小説の神様」で名を覚えた著者の作品ということで手に取りました。本作はシリーズ2作目なのですが、1作目が全く見つからず、仕方なく先に本作を読んでしまいました。
1作目を読んでいなくても、主人公の柴山の境遇や人間関係はある程度分かったので、その点についてはあまり問題にならなかったかも。ただ、柴山の姉との関係はボンヤリとしてて、恐らくここは1作目を読んで補完する必要がありそう。
オカルトチックな案件をロジカルに紐解いていくというのはある種の王道なんでしょうか(マスターキートン、バチカン奇跡調査官など)。
しかし本作最大のミステリは、なんといってもマツリカさん本人の正体。
結末自体は大きな驚きではありませんでしたが、それに至る過程でのミスリード(マツリカ=松本梨香子説)、特に写真についての榎本先生のコメントはとても上手いと思いました。このあたりは著者の特技であるマジックの経験がなせる技なのでしょうか?
「小説の神様」で読み手を楽しませることにこだわりがありそうなところが伺えたのですが、それを体現した佳作だと思います。欲を言えば、予想をもっと超える驚きや展開が見たかったのですが、それはまた別の作品で。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2016年9月25日
- 読了日 : 2016年9月22日
- 本棚登録日 : 2016年9月25日
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