廃止が決定された青函連絡船。少年刑務所や舞台となっている土地などの要素から、寒々しい寂寥感や疎外感といった感覚を強く覚えます。それは、少し前に読んだ桜木紫乃「硝子の葦」にとても良く似ていると思いました。(発表年は本作の方がかなり前になりますが。)
そのせいか、ボリュームが薄いはずなのにページをめくる手がものすごく重々しく感じられ、読了するのに意外と時間がかかりました。改行の少ない、重々しい文章もその一翼を担っているのかな、とも思います。(この重々しさを醸し出すために、わざとそういう文章にしてる?)
ただ、作品の内容——というより、花井の行動——が解せなくて、読み終えた後はなんだかモヤモヤした気分に。
彼の理解しがたい行動の理由としては、ヒエラルキーの低い領域内でお高くとまっていたいのか?くらいしか想い当たりません。
そして、刑務官としてそんな花井を「制御」できることに増長している主人公も、かつていじめる側、いじめられる側と対局にいたはずなのに、たいしてかわらないように思います。
タイトルに「光」とあるので、もっと希望に満ちた内容や結末があると思ってました。けれどそれは、いずれ光ることを止めてしまう青函連絡船のそれをさしてるのかな、などと思ってみたり。その「光」は、海峡を渡ろうとせずに見知った世界に閉じこもってしまう主人公と花井の、鬱屈として発展性の無い将来を象徴してるように思いました。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2014年12月16日
- 読了日 : 2014年12月6日
- 本棚登録日 : 2014年12月6日
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