キリストと性 西洋美術の想像力と多様性 (岩波新書 1992)

  • 岩波書店 (2023年10月24日発売)
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感想 : 15
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 一人のクリスチャンとして、また一塊のキリスト教美術好きとして興味深く読んだ。

 キリスト教が元来持つ(と私は考える)クィアな性質は、いきなり真正面から聖書を読んだり、正統派のキリスト教名画を眺めても分かりづらい。むしろクィアとは正反対と捉えられかねない部分が多く、実際に排他的な捉え方をしたせいで多くの人々を傷付けてしまった歴史もある。
 しかし、あえてメインストリームではない方角(=正統派ではない、ひょっとしたら異端みすらあるキリスト教美術)から眺めると、イエスさまが示すオープンマインドな愛、境遇や条件に左右されない真の平和が比較的はっきり見えることもあるのだと、本書を通じて学んだ。

 とくに磔刑図/像の異性装について触れるセクションが面白かった。

 変わった内容ではあるから、それなりのコンテクストを把握していないと読みづらい or 色々誤解しちゃうかも。私自身ずっと調べ物をしながら読んだから、薄い新書なのに読了まで随分時間がかかってしまった。他レビューにもあった通り中〜上級者向けだと思う。
 キリスト教美術やジェンダー・セクシュアリティの問題に一定の興味がある人にはぜひお勧めしたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年6月27日
読了日 : 2024年6月27日
本棚登録日 : 2024年6月27日

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