アルコール中毒者である自身の入院体験をもとに書かれた作品。淡々と、それでいて論理的に自身を見つめる文章はなかなか無いのではないだろうか。
「答えるということは、自分の人格を見せるということだ。」この一言には共感する部分が多々有り、頷きたくなった。
そして、綾瀬少年が亡くなり、主人公と医者が酒に酔い舌戦を繰り広げるシーン。涙か出そうになった。「この盃を受けてくれ どうぞなみなみつがしておくれ 花に嵐のたとえもあるぞ さよならだけが人生だ」。作中に登場する井伏鱒二の言葉が、この作品の本質を描いている。クライマックスの一言に、こころが満たされてゆくのを感じた。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2014年7月16日
- 読了日 : 2014年7月16日
- 本棚登録日 : 2014年7月13日
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