15年間廃墟写真を撮り続けている写真家の集大成。廃墟写真集や廃墟DVDを数多く発表している。巷には数年前から廃墟本が一挙に増えてきたが、1991年発表の『Tokyo Bay Side』で
既に独特の廃墟の写真を撮っている。
今回はいっそうヴォリュームのある写真集。そして、たいへん美しい。一般人にとって廃墟というと、古い・汚い・怖いというマイナスのイメージしかないだろうが、ここに写し込まれているいるのは、時の経過とともに、数々の偶然が重なってできたインスタレーションである。
陽光が差し込む室内に陰湿なイメージは感じられず、写真家によって陽の目を見た廃墟の風景が最も美しく見える切片で切り取られている。それから今回は、ハリボテや看板のキャラクター(動物・怪獣・人間・仏様など)がクローズアップされている。21世紀初めからの"かわいい"ブームに乗じて注目してきたのだろう。
ただかわいいものではなく、かわいいもののなれの果て、かわいさと退廃という矛盾を写し出そうとしているのかもしれない。見るだけでもお薦め。見たら欲しくなるが。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
廃墟
- 感想投稿日 : 2006年12月14日
- 読了日 : 2010年11月3日
- 本棚登録日 : 2006年12月14日
みんなの感想をみる