国境の南、太陽の西 (講談社文庫)

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本棚登録 : 9756
レビュー : 864
著者 :
そのかさん *国内小説*   読み終わった 

村上春樹はあまり好きじゃない、とある男の子に話したら、この本を薦められた。
女の子が読むなら、この本がいちばんお薦めだと。



でも多分それは間違いだ。
なんて自分勝手な小説なんだろう。
限りなく男の人目線の話。
男の人だけで完結してしまっている。

村上春樹の小説に出てくる女のひとは皆、男のひとが想像する姿。
こんな女のひとだったらいいな。あるいはこんな女のひとだったらいやだな。

村上春樹の小説には、男のひとは基本的に一人しかでてこない。主人公。
ふらふらと考えがかたまらなくて、優柔不断。
女のひとは沢山でてくる。色々な考えを持った女のひと、女の子。
彼女たちはそれぞれ色々な事を考えて、色々な悩みを持っている。
だけど、彼女たちはぶれない。
危うくて脆くて壊れてしまいそうだけど、根底の考え方はふらふらしない。
危ういなりに、しっかり芯を持った考え方をしている。
ひたすら依存体質だったり、ひたすらだらしなかったり、ひたすら安定志向だったり、ひたすらエキセントリックだったり。
そこに違和感を感じる。
女のひとはそんなに強くない。
女のひとはそんなに単純じゃない。
単純、というと語弊があるかもしれないけど、「芯が変わらない」という意味での単純。
女性に男性が甘えきっている構図がいやだ。

主人公には芯がなくて、周りのいろんな女の子が持っている芯に惹かれていく。
男の人はその芯に惹かれて、影響されて、成長していく。

じゃあ女の人はどうなるんだ。
女の人だって、周りの女の子の持ってる色んな芯に触れて、憧れて、真似しようとして挫折したりしてる。



私だけかもしれないけど。

これを読んで、男の子が村上春樹好きな理由がすこしわかった。
こういう女のひとを世の中の男のひとが求めているのなら、それはすこし嫌だなと思う。
マザコンっぽい。

でもそれもある意味妥当なことなのかもしれない。
「理想」はいつだって「シンプル」だ。
好き好んでややこしい複雑なものを好きになる必要はない。
単純に強いひと。単純に弱いひと。単純にエキセントリックなひと。



でも村上春樹が嫌いなわけじゃないんだ。うまく言えないけど。
表現が、描写が、胸を苦しくさせる。
この本だってボロクソに書いてるけど、嫌いなわけじゃない。
最後まで読んだもん。

世の中にはうまくいかないことが沢山あって、皆それぞれ苦しい思いをかかえてるけど
それでもまあなんとかそれなりに生きていこうよ、
っていうのが村上春樹の小説だと思ってる。

あと村上春樹の小説が苦手な理由のひとつに「ストーリーのわりにオチが弱い 」 っていうのがあったんだけど、
今回はあまり感じなかった。
収まるべきところに収まったという感じ。
ていうかストーリーというストーリーもなかったかな。

レビュー投稿日
2011年4月19日
読了日
2011年4月19日
本棚登録日
2011年4月26日
7
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