歴史戦と思想戦 ――歴史問題の読み解き方 (集英社新書)

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レビュー : 37
著者 :
isamu9さん ノンフィクション(教養書等)   読み終わった 

戦後の「日本人」が戦前・戦中の「大日本帝国」を批判するのは「自虐史観」ではなく「民主主義的な歴史観」。

「皇国史観」とは、主権在民や言論の自由、思想信条の自由などの考え方を否定するもので、あらゆる価値判断の基準を天皇に置く。国民は個人の自由や権利を主張せず、天皇のために奉仕し、必要なら喜んで犠牲になるという戦前戦中の大日本帝国の思想。皇国史観の対極は民主主義的な歴史観である。

なぜ自由な日本国よりも、精神的に不自由な「大日本帝国」と自分のアイデンティティを同一化するのか。何が魅力なのか。

不安や孤独を伴う「自由」よりも、高揚感や充実感を味わえる「権威への服従」の方が好きだという権威主義者にとっては、戦後の日本国は軟弱であり、日本国憲法も軽蔑と攻撃の対象となる。

建国神話に始まる気宇壮大な物語によって権威化された大日本帝国は、権威主義者にとっては理想的で魅力的な従属と自己同一化の対象となる。

また大日本帝国やナチス・ドイツなど権威主義国では時の国家指導者や国家体制を「国」そのものと同一視し、それへの絶対的忠誠や献身、犠牲を自発的に行わせ、それに反抗するものを「国家の敵」と見なす思考形態が見られる。

レビュー投稿日
2019年7月15日
読了日
2019年7月15日
本棚登録日
2019年7月15日
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