むかしから、すーちゃん、大キライだった。
ねこちゃんのいやなことを、これみよがしにするから。
ねこちゃんは、そんなことをされても、でも、ぜったいふうせんはねこちゃんのものだから、ずうっときになっている。
もういいもん、ってならない。なれない。
「ぼくの・・・・・ぼくの・・・・・」
翌朝、ねこちゃんは同じ場所で、もっとたくさんの風船を捕まえることができた。
だけどねこちゃんは、たくさん捕まえた風船を、すーちゃんの前でみんな空に飛ばしてしまう。
みせしめだろうか、あてつけだろうか。
すーちゃんとはなかなおりできたのかな。
分からないまま今に至る。たぶんずっと分からないままだろう。
追記
家にあった本を読み返してみたら、歌を歌いながら何も反省せずに、楽しそうに風船と散歩をするすーちゃんの顔が黄色いクレヨンで塗りつぶしてあった。(それがこの本の絵のタッチと相まって、自分でやったのか元からそうなのか一瞬わからなかった)
痕跡本。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
佐野洋子
- 感想投稿日 : 2013年9月23日
- 読了日 : 1990年9月22日
- 本棚登録日 : 2013年9月22日
みんなの感想をみる