父の縁側、私の書斎

著者 :
  • 新潮社 (2004年1月23日発売)
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感想 : 11
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雑誌モダン・リビングの掲載文を単行本にまとめたもの。少なからず自分が建築に興味を持っているやんごとなき事由から面白く読めた。檀さんのこういったエッセイで、いつも感心するのは、自らに降りかかる悲運である『建築家に頼むと、高い金をとって雨漏りの家が完成した』等の批判に手を緩めるわけではなくズバズバ、サラリサラリと筆運ばれ読み手に訴えかけるのだが、結論として哀愁漂う「あわれなる」嘆きとして笑いに転化する書き手の妙ですね。個人的には、安藤氏の設計した季節感じる長屋について質問された時のくだりが、よく建築士にありがちな風景として目に浮かんで可笑しくて笑えました。檀一雄の書斎の間取りや坂口安吾との細かいやり取りなど、小説読みにはたまらない一番のオススメ。

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感想投稿日 : 2006年1月2日
本棚登録日 : 2006年1月2日

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