海外では、美術品を購入する際に「Can you live with it?」と聞かれるそうだ。
確かに、良いものってのは一緒に時を過ごすことでその輝きは変化するし、ある時ふっとその真の良さに感動することがあるもんね。逆に安くて大して良いと思わなかったけど買っちゃった物の、部屋に飾ったあとのチグハグ感には、あっし確かに、思い当たるフシがありんす。
特に心に残ったのは次の部分。
『われわれ日本人は、高度経済成長期以降、物質的な豊かさは得たものの、それと引き換えに、精神的な充足を失ってしまった。失ったというのが言い過ぎなら、ごく浅い満たされ方しかしていない。対して、フォーゲル夫妻(ミニマルアートの世界的なコレクター。特に資産家というわけではない)は、ある一点をうがつことで、アートという豊かな水脈を掘り当てたのだ。夫妻はいつでもそこから、極上の美の水をくみ上げることができる。』
興味がありつつも敬遠してしまっていた世界をぐっと引き寄せてくれた名著でした。
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- 感想投稿日 : 2014年5月30日
- 読了日 : 2014年5月30日
- 本棚登録日 : 2014年5月30日
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