栄光の岩壁(上) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1976年11月2日発売)
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感想 : 40
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この小説のモデルとなったのは芳野満彦さんだ。高校の頃の登山で凍傷により両足の指を失いながらも、山を目指した人であり、小説の中では、逆説的に両足の指がなくなったからこそ、山を登り続けたのだとも評している。
そのことを考えると、主人公が凍傷を負い、その逆境から立ち上がることができたのは、小林医師という軍医上がりの人からいわれた次の言葉だと思う。
この小説においては、この言葉からはじまっているともいえる。
「寝ていたのでは一生かかってもそのままだ。まず立つことの練習を始めねばならない。靴下を幾枚も重ねて履き、大きな靴を履いて、天井からつりおろしたロープにすがって立つ練習からはじめるのだ。足に重みがかかると足が痛む。出血する。出血してもなんでも、それをやるのだ、そのうち出血も少なくなり、重心の取り方も自然に覚えてくる。新しい足が、君のその足の中から出てくるのだ」
そして、主人公は、マッターホルンと言う山の北壁の日本人初登攀を成し遂げる。
全2巻

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本史
感想投稿日 : 2017年3月8日
読了日 : 2017年3月8日
本棚登録日 : 2017年3月8日

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