普段あまり考えもしない「縁」の大切さが深く身に染みて伝わってくる。
ホームレスになる理由は人それぞれにある。ここではそのホームレスとして生活する人たちをいくつか紹介している。中には東大大学院を卒業した人なども。
多くに共通するのが、孤独であるということ。それはつまり頼るべき人、戻るべき場所が無いということを意味する。それはまた「無縁」という言葉にも置き換えられる。地縁、血縁、宗教縁、婚姻縁など社会との縁が切れ無縁無一文になったとき、多くの人はホームレスになるという。それでも、若いうちや働くうちは会社との関係があるが、その縁すら失えば誰もがホームレスへの道を辿る可能性だってある。
不況で多くの人が仕事を失う時代、無縁の人々は簡単にホームレスになり、そして将来、その増加が日本列島を覆うことにもなるだろう。
無縁社会という言葉が広がる今、「縁」の希薄化こそがホームレスへの一歩となる。ホームレスでも自由に楽しく生きている人もいるかもしれない。しかし大半は未来への希望すら失いながら、苦しい現実を生きている。
幸か不幸か私たちは今、その傍観者に過ぎないが、それは決して他人事の話でもないような気がしている。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
社会
- 感想投稿日 : 2011年11月10日
- 読了日 : 2011年11月10日
- 本棚登録日 : 2011年10月24日
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