人間は、なにをもって人間を失格になるのか...
太宰治が考える 人間らしさ が反面的に語られる一冊。
旅路に文学作品は良く似合う。
夏の旅行の友に、この痛烈なタイトルを手に取った。
人を狂わす定石は、いつの時代も変わらない。
女、金、酒、薬 をキレイになぞっていく展開。
人との関係を達観して、
侵食されない心の聖域を作った人こそ、
その歪みに耐えられなくなるのかもしれない。
つまり人間失格とは、強欲が齎らす破滅ではなく、
人間特有の感情を無下にして生きることではないか。
その結果が葉蔵であって、
葉蔵の結果が、人間失格ではないと感じた。
また、そんな道化の仮面を付けた葉蔵の心理描写を、
筋道立ててロジカルに分析する描かれ方も面白い。
それも、肩がこるくらい堅物でシニカルに。
この表現が文学作品の心地良さでもある。
本作を含めた所謂文学作品と呼ばれる作品たちが、
1タップで、しかも無料で読める時代なのだから、
これからは、旅の友に限定せずに、活用していきたい。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2019年9月9日
- 読了日 : 2019年9月1日
- 本棚登録日 : 2019年8月15日
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