給料戦争 (PHP文庫)

  • PHP研究所 (2016年9月3日発売)
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経営コンサルティングを生業とし、楽天市場では数多くの優秀賞を受賞している竹内謙礼氏と、公認会計士、税理士、行政書士という肩書きをもつ青木寿幸氏のビジネス戦略小説シリーズ。

小説としては、以前に拝読した『貯金兄弟』や『会計天国』よりも、最後まで楽しめる一冊だったし、ビジネス的にも身近な「給料」という題材を受けとる側が知っておくべきこと、与える側が考えておくべきことが書かれてあって勉強になるとともに、給料はこうやって決まってるんだなと納得できる内容だった。

ストーリーは、お人好しでいつも断りきれない会社員の浅野がベトナムのラオスに出張中、戦時中からタイムスリップしてきた日本兵の花沢と出会い、日本に連れて帰り一緒に暮らすことに。

浅野は課長であったが、同期で入社した同僚は本部長に出世し、浅野の上司になってしまう。人事制度の仕組みや、どうすれば出世し給料が上がるのか、基本給から何が引かれて手取りの給料となっているのかを他の会社で総務をしている浅野の彼女、由美子がヒントを伝授していく。

花沢はといえば、雇ってもらえた由美子の親族が運営する老舗和菓子メーカーが、和菓子の不人気と不況のあおり、他メーカーの賞味期限改竄の影響で倒産の危機となる。社員や下請けで関わる人を守るため、人件費を削り会社の業績を回復させるリストラを敢行することに。社員のモチベーションを下げないリストラの方法をとることに。

同期の上司と反りがあわない浅野は、ある日、キャリアアップのため転職しないかという話が舞い込む。転職しても95%は失敗するというなか、5%の成功者になるには、どう転職すればいいかのコツ、転職後、買収した子会社への転籍は栄転なのか、左遷なのか、メリットとデメリット、社長として人事評価の方法や、給料決定の判断基準の作り方が浅野と由美子、花沢の掛け合いにより進められていく。

戦時中に戻り、ベトナムに新日本帝国を作ると張り切る花沢は、再びタイムスリップすることができるのか、浅野は会社員として、転職者を希望するものとして、会社の役員として成功できるのか。

個人的に「転職」という考えは今のところ持っていないけど、多くの人のお金の出所である「給料」について知識を増やすことで、会社は社員をどう評価するのか、人事制度や給与体型を知ることができたし、小説として最後の展開には花沢の熱さを感じ、夢や目標に邁進する行動力に感動した。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年4月5日
読了日 : 2017年4月5日
本棚登録日 : 2017年4月5日

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