(015)庭 (百年文庫)

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itsujiさん 小説・文学・随筆   読み終わった 

≪県立図書館≫

「庭の眺め」
なんと達観した、というか、広い心を持った、というか。
悟っているような、こだわりをぬぐおうとしているかのような、そんな視線を感じました。
空き地化した庭に、実に様々な動物や人(の気配)が出入りして、静かなようで実ににぎやかで豊かな、そんな庭。
季節や感情がぐるぐるとせわしくめぐっていく中で、それをゆったりと受け止めて楽しんでいる。
そんな庭であり、持ち主である。
私はこうはなれないなぁ。

「白いウズラ」
ああ、メアリーのご亭主の気持ちがわかる気がする。
なんていう最後の一言!
そう、彼はメアリーに愛されていない。
本当の意味では愛されていない。
白いウズラの象徴するもの。
それを壊してしまいたくなる彼の気持ちは、悲しく切ない。
ずっとメアリーの気持ちが主体で描かれてきて、最後で綺麗に覆り、ハリーの心にクローズアップされる。
だからこそ彼の寂しさが強烈に胸に迫る。
うまい。

「金魚撩乱」
なんというか、この煮え切らない、秘めたうじうじ感が日本っぽい。
最後の展開は読めた。
多分、あの池だな、と。
バロックやロココや、生活感のないお人形さんのようなお嬢様。
マネキンのようで非現実な女。
崖の上から飛んでゆけないその姿は、受け身で生きていくことの苦しさやわびしさを背負っているように見える。
偶然にできた、この上なく美しい金魚は、真佐子にも似ておらず、もっと美しい金魚だった。というのが、ちょっと面白かった。
失望か、否、それ以上の喜びか。
真佐子の幻影というか、恋というか、執着というか、呪いというか、それが解けた。のであってほしい。

レビュー投稿日
2019年3月25日
読了日
2019年3月25日
本棚登録日
2019年3月21日
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