女 (百年文庫 41)

  • ポプラ社 (2015年1月2日発売)
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本棚登録 : 63
感想 : 15
4

「洲崎パラダイス」
なんてダメな女とダメな男なんだろう。。。
人がどんどん通り過ぎてゆくお店。
おかみさんの感じる、わびしさというか、空白というか、悲しさというか。
なんて上手に描くんだろう、この著者は。
それぞれの心の動きが、まるで自分が感じているかのように読み進めることができた。
皆の気持ちが、わかる。
切ないなぁ。

「黒縮緬の女」
粋な女だ。
流石。
男遊びも金の使い方も別れ際も、ためらいがない。
スリの手際もさぞ鮮やかだろう、と想像できる。
彼女にしたら、この若造はおもしろいおもちゃだったのだろう。
早めに手を引いて、正解。
若いわりに、危機管理能力が抜群だ。

「行く雲」
女の嫉妬や憎しみが、徐々に形を変えていく。
最後には悲しみと、諦めに似たような感情に変わっていく。
そして、女礼は逆に、女の複雑な感情に目覚めてゆく。
やはり、浮気だの不倫だのは、後々よい結果を残さない。
自分はいいかもしれない。
しかし、周りを長く傷つける。
最愛の娘すら、傷つけてしまうのだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 9・文学
感想投稿日 : 2019年9月21日
読了日 : 2019年9月26日
本棚登録日 : 2019年9月21日

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