肌 (百年文庫 60)

  • ポプラ社 (2015年1月2日発売)
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本棚登録 : 46
感想 : 9
4

全体的に読みやすかった。

「交叉点」
友子みたいな女、いるよね。
自分から不幸に寄っていく女。
寂しくて幸せになりたい気持ちが強くて、相手の心が読めず、思い込んでしまう。
貞操観念が無いと、結局自分を安くしてしまう。
固すぎるのもどうかと思うけれど。
人と人との関係の薄さが、リアルだった。
まさしく交叉点。
人生が交わるのは一瞬だ。

「ツンバ売りのお鈴」
え、掏られたのに、そんなにあっさり許してしまうの?
それは、一種の見栄か?
私には理解ができない。
馬鹿にされてるだけのように思える。
私には、そんなに魅力のある女性にも思えなかったし。

「金色の鼻」
ん?
未練の話か?
決定的な別れの理由などないけれど、惰性で続けた結婚生活を終わらせることとなった男の、うじうじ感がある。
確かに、こういう時、女はすぱっと線引きができる気がする。
続けている間にうじうじするのが女で、終わりを迎えてうじうじするのが男な気がする。
まあなんにしろ、頼りないとりとめない男のように思える。
まあ、せいぜい金色の鼻でもなぜ回しておればいい。
なぜか、そんな風に突き放したくなるような読後感が残った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 9・文学
感想投稿日 : 2020年5月5日
読了日 : 2020年5月5日
本棚登録日 : 2020年5月4日

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