社会的共通資本 (岩波新書 新赤版 696)

著者 :
  • 岩波書店 (2000年11月20日発売)
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本棚登録 : 1269
感想 : 92
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すべて第一章の「社会的共通資本の考え方」に戻り、通底するのは人が幸せに生きていく為の経済活動とはどうあればいいのかという問いの書だったと考える。本来経済学(学とあるものはすべて)は、人が幸せにあるために問い・積み上げられていくものであるはずなのに、今の社会はいわゆるお金が増える=幸せというように、主体が人からお金に倒置されてしまっている。
その背景には、国や企業という組織の枠組が古くなってしまっていて、その枠組そのものの定義が揺らいでいる為なのではないかと思う。もっと突き詰めるなら人存在そのもの。そのために価値定義が確立している(と思われる)お金が主客転倒した形で引っ張る世界になっているのではないか。
この本はそういう観点から考えると、「社会的共通資本」という概念を立ち上げることで、もう一度、お金に使使われるのではなく、その「社会的共通資本」という枠組みの中で道具として使うものに戻すことを論じたものと捉える。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会学
感想投稿日 : 2014年12月31日
読了日 : 2014年12月31日
本棚登録日 : 2014年12月20日

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