こころと身体の心理学 (岩波ジュニア新書)

著者 :
  • 岩波書店
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784005009237

作品紹介・あらすじ

SNSやバーチャルリアリティが普及し、身体の捉え方は多用化している。一方でリアルな痛みは自分の存在を実感させ、他者の痛みにも気づかせてくれる。金縛り、絶対音感、文字に色や形に味を感じる共感覚、全盲者がつくりあげる空間世界——様々な事例をもとに第一線の科学者が自身の病とも向き合って解説した、今を生きるための身体論。

感想・レビュー・書評

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  • <BOOKガイド>『こころと身体の心理学』山口真美著: 日本経済新聞(会員限定)
    https://www.nikkei.com/article/DGKKZO67015620U0A201C2KNTP00/

    こころと身体の心理学 - 岩波書店
    https://www.iwanami.co.jp/book/b527924.html

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      『岩波ジュニア新書読書ガイドブック2021』
      著者メッセージは山口真美「読書から、豊かな人や世界のつながりを」

      ↓昨年のガイドブック...
      『岩波ジュニア新書読書ガイドブック2021』
      著者メッセージは山口真美「読書から、豊かな人や世界のつながりを」

      ↓昨年のガイドブック
      「岩波ジュニア新書読書ガイドブック2020」を発行しました - 岩波書店
      https://www.iwanami.co.jp/news/n35665.html
      2021/06/23
  • 書店で見かけて、あまり内容も見ずになぜか購入した一冊。ジュニア向けということもあり、思春期の心の保ち方的なほっとするような内容かと思っていたが、科学的にこころと身体の研究をされている著者の考えが載せられていて面白い読み物だった。自分が小中学生じゃとても読み切れなかった。

    自分自身を思い出すと幼少期はこわいものだらけで、あんまり心も丈夫じゃなかったと思う。部活を始めてから悩む暇もなく練習して遊んで、日常的に心が不安定ということはなくなって。それでも自分も「頭で考えすぎると動けなくなる」タイプなので一瞬が勝負のスポーツは正直向いていないと思うことがよくあった。さらに、試験もうまくいかなかったりするとなにしてもダメだと凹むことが山ほどあった。小さいころ一時期、疲れると目が魚眼?のようにすべてが小さく見えるときがあって、親に言っても伝わらず、すごくイライラしたこともこの本を読んで思い出した。
    そういう思春期の精神的・身体的な痛みも今思えば必要だったというか、今の自分のある程度納得できる考えにたどりつけた一因だとは思う。でも、なんでヒトだけこんなに悩まなくてはいけないのかともよく思う。

    著者はおそらくもっと生きづらさを感じながら、生活・勉強してここまでの洞察にたどりついているんだなと読んでいて感じた。著者の主観的な感想はやや多めだが、自分だったらこんな内省にはキリがないので避けたくなってしまう。学者ってすごい。

    あと、個人的に興味を持ったのは盲目の方のみる夢。視覚以外の間隔で生きていると夢にまで影響することは、想像は容易だけど考えたことがなかった。色をイメージで知覚するってどういう感覚なんだろうか。
    DMN(デフォルトモードネットワーク)も気になった。自分の経験として、なんとなく考え事をずっとしている(考えることを考える状態になる)せいで行動が遅れることが多くて、反対に家事とか一回無心でやれる作業を挟むと、本来やりたかったことに集中できたりするような気がしている。ずっと頭が回転していることはメリットっぽいが、デメリットも感じていたので、正体をつかめたような気になれてよかった。意図してコントロールしたい。

    さらっとでてきたけど「動く猫、動かない猫」の実験とか心理学系のテストはやっぱりやや非人道的だなと思った。そのうちコンプラで何にもできなくなってしまうのでは。。ルース・ベネティクト「菊と刀」も日本人論を語る上ではよく引用されている。原著(もちろん訳本)も読んでみたい。

    あと最後、最近は多様性の認めすぎも気になる。「みんな違ってみんな良い」のはもちろん素敵だけど理由を持つべきと思う。"ふつう"にこだわる必要は全くないけど、何ごとも多数派がいることは事実なので。
    こういう話になると伊藤計劃のハーモニーの世界を思い出す。保護されすぎは人がおかしくなる。

    やたら長く書いたが、内容はともかくこれまで避けてきた考え事に触れられた感じがした。せっかく人に生まれたので、鬱にならない程度に考え事をしたい。

  • とても平易な文章で、サラッと読める。そのわりに、著名な実験や歴史など、身体にまつわる基礎的な知識が網羅されている印象。よい。

  • 生きづらいなと感じたときに、身体や感覚の捉え方について知ったり意識を向けてみるのもいいよ、と言ってくれている本なので、マインドフルネスに興味を持っている人はとっつきやすいと思います。
    金縛りや共感覚など不思議な現象をテーマに身体とこころの関係が語られていくので、飽きることなく最後まで読み進められました。
    また、第一章を中心に心理学で扱う対象をわかりやすく説明しているので、心理学に興味を持っている、進学を検討している方は参考になると思います。

  • 風景が上下反転する逆さ眼鏡をかけると、当初はまともに立てないが、慣れることで普通に生活できるようになる。そういった体と認知(こころ・脳)の仕組みを説明する本。
    1章・3章は面白い。思春期は扁桃体がとくに活動し不安・恐怖が強く刺激されるなど知らないことだった。

    しかし、著者が「と思います」「ではないでしょうか」で文末を結ぶ個人の感想の割合が激増する後半になるとただの個人の感想の羅列になっていく。
    とくに4章のネット社会での人とのかかわり合いは思いついたことを書いているだけで、そこに実験や深い考察が全く見て取れない。ただ年寄が自分の知らないコミュニケーション方法に戸惑っているだけである。

    研究の紹介は良いが、個人の感想の部分がひどくつまらない。
    読むなら1章~3章だけをおすすめします。

  • とても面白い本です。

    霊的世界は、現象としてそこに存在しているのではなく、人間の脳内の動きで作られたものであると認識できました。

    以前、幽体離脱がらみの本を読んだことがありますが、感情に訴えるような表現が多く、ハマることができませんでした。この本を読んで、脳の現象であるとわかり、疑問が晴れました。明晰夢をハンドリングしているのが前頭前野だと知りました。
    近年、毎日編み物をして、前頭前野を刺激していたのですが、明晰夢を見たことにつながっていたのかもしれません。

    毎日夢を見ることは良くないことだと思っていたのですが、実は体から無駄な情報を省く健康的な行為だそうです。

    つい視覚ばかりで物を考えがちなのですが、空間や質感の認識は目ではなく脳でなされているので、今後も脳の仕組みについて勉強したいなあと、本を読んで思いました。

  • 身体とこころの関係を心理学や脳科学などから説明した本。
    思春期だからこその身体感覚の欠如の話もあるけれど、今の時代だからこそ、バーチャルの世界とつながることと、バーチャルがリアルに感じる感覚についても触れている。

    身体と心は別のものという考えから、いま身体をどのように使っていくのか、意識的に考える時代にもなっているんだなぁと思う。

  • 今を生きるための身体論。
    コロナ禍に出版された本だが、今を生きるためのといっても過剰に励ましたりポジティブを強要したりするのではない。いろいろな学説をわかりやすく説明し、暗に背中を押してくれる。私は大丈夫かもしれない、という不思議な読後感の本。

  • 体外離脱

  • 141-Y
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著者プロフィール

中央大学文学部教授。1995年,お茶の水女子大学人間文化研究科単位取得退学。
主な著書:『自分の顔が好きですか?―「顔」の心理学』(岩波書店,2016),『発達障害の素顔―脳の発達と視覚形成からのアプローチ』(講談社,2016),『赤ちゃんの視覚と心の発達 補訂版』(共著,東京大学出版会,2019)ほか

「2019年 『心理学実験』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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