全体を通して実に爽快な本なのである。
何かを模倣することでしか創作できないこと。模倣することがなぜこれほどまで後ろめたさのあることなのか不思議になるほど、すっと模倣することひいては創作することに前向きになれる。
あくまで建築に関して述べているのだが、やはり石山先生は教育者としても素晴らしく、散りばめられる言葉たちは皆若者の道しるべとなるものばかりであった。
天才ではない。ユニークで、時流に乗っている人だとは思わない。しかし確固たる自分であるための努力を地道にしてきた方なのだろう。
ところでコルゲート建築はなぜ、広まらなかったのだろう。真に必要なことや合理的なことは実はそんなに大切なことではないのかもしれない。建築は小さい。だから個人のエゴによって建ってしまう。しかしながら全体のうちの一部ととらえるには大きい。だから個人のエゴを抑えることはできない。街並みにばらつきが産まれる。これも豊かさと自由が生んだ混沌という造形だろう。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2017年5月5日
- 読了日 : 2017年5月4日
- 本棚登録日 : 2017年4月12日
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