宇宙のみなしご (角川文庫)

3.66
  • (130)
  • (269)
  • (269)
  • (43)
  • (6)
本棚登録 : 2402
レビュー : 230
著者 :
相沢泉見さん  未設定  読み終わった 

中学2年生の陽子と1つ歳下の弟リン。
二人の両親は仕事で忙しく、不在がち。
主に陽子の方が先導する形で、二人は幼いころから自己流の遊びを生み出している。
そんな陽子が新しく見つけた遊びは、「真夜中に近所の家の屋根にのぼること」だった。
もちろん見つかったら怒られるし、普通の家の屋根ごとき、のぼったからと言って何が見えるわけでもない。
それでも二人は時折屋根のぼりをして楽しんでいた。
それは二人だけの遊びだったはずなのに、ある日弟のリンは七瀬という女子生徒を加えようと言い出す。
七瀬は陽子と同じクラスで、引っ込み思案な少女。リンと付き合っているという噂もある。
陽子はあまり賛成ではなかったが、リンの提案を断れず、七瀬も屋根のぼりに加わることになった。
ところが、三人で屋根に上ろうとしたところを、瑤子のクラスメイトの男子・キオスクに見られてしまう。
キオスクと言うのは「使いっ走りに便利だから」とつけられた綽名。彼はいじめられている。
そんなキオスクが、何故か陽子には馴れ馴れしく話しかけてくる。
屋根のぼりの件もツッコまれ、結局キオスクも屋根のぼり仲間に加わることになる。
しかし、いそせ屋根に上ろうとすると、キオスクは怖がってできなかった。
陽子は彼を見捨ててしまう。
後日、キオスクが自殺未遂をして病院に行ったというニュースが飛び込んでくる。
そしてキオスクはそのまま不登校になってしまう。

タイトルは、陽子たちのかつての担任だった女性教師の台詞。
「みんな宇宙のみなしごだから。ばらばらに生まれてばらばらに死んでいくみなしごだから。自分の力できらきら輝いてないと、宇宙の闇に飲み込まれて消えてしまう」

陽子は冒頭で、不登校になる。
引っ込み思案な七瀬は、誰かについていく形でないと行動できない。
キオスクは、いじめをきりぬける気力がなくて、屋根にも上れず、一人で練習しようとして、転落してしまう。
リンや、遥香に年上である、陽子たちの叔母・さおりさんも、もがきながら生きている。

主人公である陽子やキオスクや七瀬やリン。そして、私たち。
しんどい時もあるけれど、それでもみんなきらきらと輝けるように、暗闇の中で模索しながら生きている。
そんなことを感じる話でした。

レビュー投稿日
2018年8月11日
読了日
2018年7月20日
本棚登録日
2018年8月11日
1
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『宇宙のみなしご (角川文庫)』のレビューをもっとみる

『宇宙のみなしご (角川文庫)』に相沢泉見さんがつけたタグ

いいね!してくれた人

ツイートする