GOTH 僕の章 (角川文庫)

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レビュー : 802
著者 :
相沢泉見さん  未設定  読み終わった 

最終話「声」。馬鹿なので一読しただけではわからず何度も読み直してしまったw

最後は、神山樹と森野は永遠に袂を分かつというか、冒頭の殺す側と殺される側に分かれてしまったことを、森野が自覚する、というのが個人的な解釈。

一方「僕」はずいぶん早いうちから、森野と自分は違う人間だと知っていた。
最後の「言われなくても知っている」という台詞はそこから来てる。
もしかしたら出会った当初は同じ人だと思ってたかもしれないけど、森野よりも早く、自分は森野の側(正常)には行けないことを自覚してたと思う。

どこで自覚したかというと上巻の「記憶」。
「僕」は「記憶」という話で、森野がロープを切って姉を殺したと推理した。
しかし実際はロープは自然に切れただけで、森野は姉を助けようとしている。結果的に死なせたけど、そのことで傷ついている。
ここで「ああ、森野はあっちだ」と気付いたんじゃないかと。
それがあってのこの最終話。本当に良かったです。

上巻からずっと、森野と「僕」の間にある危うさを感じてて、上巻では、その危うさは、森野の死体を観たいという感覚から来ているだけかと思ってました。
でも、下巻では「僕」と森野の間に漂う危うさは、殺す側とターゲットのそれだと思いました。
「リストカット事件」では、「僕」は森野の「手首の傷が美しいから傷つけない」と言う。
最終話では、森野を殺すなら自分しかいない、みたいな感情と、その森野が生きていることへの美しさとの境目に「僕」がいる。
今は殺さないし、永遠に殺さないかもしれないけど、その日が来るかもしれないみたいな、そんな不安がある一方、
逆に考えると森野を殺そうとする人からはどんな手を使っても守るというような絶対的な心情も垣間見える。
森野を守りたいのに殺したいというアンバランスさが、「僕」の唯一人間臭い部分と言うか。
森野の生き死ににこだわるというこの「執着」は上巻には無かったような気が。
この「執着心」書かれたので、下巻は「僕」を掘り下げている感じがするんじゃないかと思った。

レビュー投稿日
2015年4月24日
読了日
2015年4月24日
本棚登録日
2015年4月24日
6
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