4TEEN (新潮文庫)

3.44
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本棚登録 : 8459
レビュー : 879
著者 :
相沢泉見さん  未設定  読み終わった 

いい話を読むと毎回書いてるけど、何でもっと早く読まなかったのだろう。石田衣良さんの直木賞受賞作。

東京・月島に住む四人の中学二年生、ナオト、ダイ、ジュン、テツローが話の主軸となり、彼らを取り巻く大人や子供、様々な出来事、心の移り変わりを描いた話です。
月島という土地はもんじゃ焼き屋などが並ぶ昭和の下町と、最近になってからできた高級住宅地、そしてそれらの中間という、3つの層に分かれている。
4人の少年たちもそれぞれの階層に分かれていて、彼らもそれなりにその差を理解しているけど、それが友情の妨げにならないところにまず絆の深さを感じる。
一番お金持ちの層に属するナオトは、ウェルナー症候群という、早老症にかかっている。そのナオトの誕生日に、いわゆる「初体験」をさせてやろうと、残りの三人が渋谷で「援交」してくれる女の子を探すという話で幕を開ける。
このプレゼントに関して、女性の私は全く思いつかない内容で、どうなってしまうのだろうと読み進めました。
ナオト以外の三人は、ナオトの病気が思った以上に深刻なことをしり、切なくなりつつも余計絆を強くする。しおれて終わらず、これを「始まり」として持ってきたのがいいなと思いました。
続いて、不登校気味で極端な過食や拒食に走る不安定な同級生のルミナや、ダイに密かに思いを寄せる同性愛者のカズヤが登場。話の語り手であるテツローを筆頭に、4人はひととちょっと違う彼らも受け入れる。
誰かを受け入れることに関しては、大人より中学生の方が寛容だったりする。
末期がんで、自分の死に場所を選ぶために脱走した老人を見つけて、彼のささやかな願いを4人は聞く。
そのあと、この話の中でも最大の事件が起こる。
月島でも「貧乏な方」の階層に位置するダイの父親が亡くなる。ダイの父親は家族に暴力を振るったりするろくでもない人間で、死んでも全然惜しくないし、身体の大きなダイならいつでも反撃できた。ダイの父の死に積極的にかかわったとされ、ダイは警察に連れていかれる。
留置されているダイに一生懸命手紙を届けた残りの三人。だけどダイからの返事は届かないまま、ダイは釈放される。
釈放されたダイは、実は父親の死について思うところがあった。その気持ちを抱えたまま三人と離れ、不良の仲間になろうとする。
しかしそれを引き留めたのはやはり三人。
それぞれの機転と勇気でピンチを切り抜け、4人はさらに絆を深くする。
そして中三になる直前の春休み、4人は自転車で月島から新宿に向かう。
新宿で大人に交じっていろいろな場所に入り、家出をしてきた少女に出会う。
家庭環境が良くなく、家出を繰り返し、挙句身ごもってしまった少女。
彼女に少しカンパをして励まし、4人は彼女と別れる。

4人の少年と小さな旅、という構図はスタンドバイミーを彷彿とさせます。
スタンドバイミーのラストで4人は道が別れてしまい、会わなくなってしまうんだけど、この話のラストでは
「つぎの日にまた会うに決まっている友達にさよならをいうのは、いつだってなかなかたのしいものだ」
とその後の関係に関して安心するような終わり方になっているのが大きく違うところ。
少年時代にしかない刹那的なものも綺麗だけど、長く続くものも尊い。

レビュー投稿日
2017年11月11日
読了日
2017年11月9日
本棚登録日
2017年11月11日
2
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