あのころの、 (実業之日本社文庫)

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レビュー : 54
相沢泉見さん  未設定  読み終わった 

6人の作家が女子高生を描いたアンソロジー。

・リーメンビューゲル/窪美澄
タイトルは赤ちゃんの股関節症を矯正するための器具のこと。
両親の離婚で母と暮らす主人公・透子と、その友達でステップファミリーの中で暮らすハルカ。
二人はお金持ちが通う女子高に在学中だが、どこか浮いている。透子は学費に困っていて、ハルカはおそらく家庭内暴力の被害に遭っている。二人とも問題を抱えているが、友情という、目に見えない微かな絆を頼りに寄り添う姿が印象的でした。

・ぱりぱり/瀧羽麻子
どことなくつかみどころのない生活をしている姉。その姉に半ば振り回され、強制的に「しっかり」してしまい、姉と立場が入れ替わっているかのような位置にいる妹が主人公。
姉妹という、切っても切れない関係の中で生まれる微妙な感情が描かれていました。
主人公は妹という立場ながら姉のような役割で、長女の私は何となく頷くシーンが多かったなぁ。
タイトルの「ぱりぱり」は、カルシウムを取るためにいりこを食べる音のこと。

・約束は今も届かなくて/吉野万理子
エッセイか小説か、何方チも取れる一編。
主人公が過ごした高校時代や、その時に出会った優秀な女性が早世してしまったこと。故・鷺沢萌さんにあこがれて作家を目指す様子やそのときの気持ちなどが描かれている。

・耳の中の水/加藤千恵
高校卒業を前に、学校に留まりたいと思う主人公。広い世界に出るために留学したいと思っている友人。友達の彼氏と密かにデートしている別の友達……。
同じ学び舎で同じように過ごして同じものを見ているはずなのに、人によって抱く感想がまるで違うことに主人公は気づく。

・傘下の花/彩瀬まる
母子家庭に育ち、母親の都合のままに、都会から方言のきつい地方へ引っ越した主人公。
そこで出会った友人・八千代だけが主人公の癒しだった。ふたりは同性だが恋人のような関係となり、狭い世界からの逃亡をもくろむ。しかし八千代と深く関わるにつれて、主人公の心に違和感が芽生える。八千代には年上の恋人めいた男性がいた。

・終わりを待つ季節/柚木麻子
プロテスタント系の中高一貫の女子校に通う主人公。ほとんどが外部の名門大学への進学を選ぶ中、主人公は大して良くない付属の女子大への進学を決めていた。
周りが受験勉強にいそしむ中、ちょっと浮いてしまった主人公は、学校行事を通して「女子校のヒーロー」である、皆の憧れである格好良い少女・真澄と仲良くなる。
真澄と主人公は泊まりで箱根駅伝の応援に行ったりするうち、やがて恋人のような関係になる。
だがやがて時が経ち、彼女とのことは思い出へと変わっていた。
男性の恋人ができて、一つ階段を上がる。

レビュー投稿日
2016年12月28日
読了日
2016年12月25日
本棚登録日
2016年12月28日
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