金原瑞人YAセレクション みじかい眠りにつく前にI 真夜中に読みたい10の話 (ピュアフル文庫 ん 1-10)

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レビュー : 48
相沢泉見さん  未設定  読み終わった 

いしいしんじ「サラマンダー」
割と素直に、若かりし頃の初恋の思い出を今でも大事にしているお祖父ちゃんの話かと思って読んでいましたが、金原さんと森さんの対談のような読み方(おじいちゃんは孫をからかってちょっと面白いウソをついているだけ)も面白いと思いました。


魚住直子「おどる洗たく虫」
ちょっとブラックだったり、いろいろな意味でいい話なんですが、妖精の姿がピンクの「おしりかじり虫」で脳内再生されてちょっと笑った。


江國香織「十月のルネッサンス」
白昼のホラー。
昨日まではいなかった子がいるのに、誰もその正体が解らない。
「いないはずのものがいる」というシチュエーションは人間の本能が最も「怖い」と感じるそうですね。


恩田陸「飛び出す、絵本」
森の中を絵本が飛び回っていて、それを取ってきて売るという発想に脱帽。
そして「おしいれのぼうけん」がぶつかってきた痛みがいつまでも残るという点にものすごく同意。
あれを読んだ夜の、暗闇の恐ろしさといったらなかったので(笑)。


角田光代「「共栄ハイツ305」杉並区久我山2ー9ーXーX」
「子どもができたかも」といった時「育てよう」と答えたところが、イノマタくんの最大のクズで下種なシーンだと思いました。


鷺沢萌「真夜中のタクシー」
夜のバーをテーマに書かれているけど、体力情熱の衰えでその世界を去ると言う、ある種スポ根みたいな話だなと思った。


寺山修司「踊りたいけど踊れない」
手や足が自分の意思とは全く別の動きをするとか、メルヘンかなーと思ったら、
初恋で自分の気持ちさえおぼつかなくなるということを書いた話だった。


梨屋アリエ「タケヤブヤケタ」
あとがきの対談でもありましたが、最後の急展開にびっくり。


楡井亜木子「おれがはじめて見た、茜色の果実について」
告白の仕方が洒落てるというか、格好つけすぎなんだけど、フィクションなのでOK


有島武郎「小さき者へ」
妻を亡くし、三人の子供は母親がいなくなってしまった。
そんな幼い子供を『お前たちは不幸だ。恢復の途なく不幸だ。不幸なものたちよ』といい、切々と想いを綴る手紙。
子を思う親の気持ちは伝わってきた。
これだけの覚悟をしたのに、有島はのちに女性と心中してしまうのだけれども、自らの父親としての気持ちよりも母親の子への想いを書き残したかったという気持ちが強かったのかも。
有島武郎は初めて読むので、作中に出てきた
『私は嘗て一つの創作の中に妻を犠牲にする決心をした一人の男の事を書いた』
という一説が何の作品を指すのかわからないのが心残り。

あとがきの代わりにあった、編者の金原さんと森絵都さんの対談も面白かった。

レビュー投稿日
2015年6月13日
読了日
2015年6月13日
本棚登録日
2015年6月13日
4
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