銀河鉄道の夜

3.65
  • (20)
  • (28)
  • (32)
  • (5)
  • (3)
本棚登録 : 346
レビュー : 43
著者 :
相沢泉見さん  未設定  読み終わった 

昔からこの話が好きで、いろんな出版社による違いを比べるという楽しみを知ったのもこの話。「銀河鉄道-」は永遠の未完で、いくつかのバージョンがあるけど、これは角川文庫版が底本になっている。第一次から改稿を重ねて第四次まであるけど、それが混ざっている感じ。
最終稿の第四次は、「何も言えない」気持ちで終わっていて、賢治自身が感じている「ほんとうの幸」を探すことの難しさを表している。第三次まではジョバンニが「本当の幸」に向かって明るく踏み出すのに比べて少し切ない。ブルカニロ博士が出てくるのもこの第三次まで。
この角川版では、博士の登場しない四次の原稿と、三次の結末が混ざっている感じになる。
好みの問題になるけど、私はジョバンニの父親が帰還し、母親のミルクも手に入り、明るく終わる第三次が好きかなー。

考察サイトをいくつか回ってみて、一番興味を惹かれたテーマは「ザネリは男の子なのか女の子なのか」。
私は素で男の子だと思って読んでたけど、女の子だとすると、ジョバンニに対するザネリの態度がまた違って見えるし、カムパネルラがザネリを助けようと川に飛び込んだ理由もより浮き彫りになってくる。
カムパネルラが南十字星の先に行けたのは、自己犠牲の精神があったから。
ただ、その行きついた先が、なんだか寂しい場所(石炭袋)だったのに心を打たれる。
生きているジョバンニがなぜ、カムパネルラと一緒に銀河鉄道に乗れたのか。
特に答えは書いてないんだけど、カムパネルラはジョバンニに謝りたかったというか…ザネリたちの意地悪に何もしてあげられなかったことが気がかりで、死ぬ前にもっとジョバンニと話したいと思ったのかな、と。
ジョバンニはジョバンニで、何というか世間に絶望していて、あの場所で寝っ転がりながら、静かに人生に絶望していた。もしかして無意識に死を考えるほどに。
その二人の感情がリンクして、銀河鉄道に乗ったのかもしれない。

読むたびに単語一つ一つの意味を追求したくなったり、新たな発見があってイメージがガラッと変わったりする。いろいろな解釈があちこちで生まれている。
セカイ系の走りみたいな話なのかなと思ったりしました。

レビュー投稿日
2018年3月22日
読了日
2018年3月7日
本棚登録日
2018年3月22日
1
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『銀河鉄道の夜』のレビューをもっとみる

『銀河鉄道の夜』に相沢泉見さんがつけたタグ

いいね!してくれた人

ツイートする