タイトル通り、メソポタミア文明研究者による一般向け入門書。
メソポタミア文明の歴史と風土の外観、都市の成立過程を1、2章で概観する。
この部分は結構マニアックな王朝にも触れる割には、かなりページ数が少なく駆け足なので、結構分かりづらく正直イマイチ。
ただ、3章以降がきっと著者の得意分野なのだろう、ぐっと話が面白くなる。
3、4章は文字の成立過程と書記学校を通して、5~7章は法律を通して、当時の社会の生活の在り様を浮き上がらせる。
考古学的な史料を通して、当時の人たちの日々の生活や価値観(の一部分だが)が具体的にイメージでき、この時代のことを一気に身近に感じられる。
教師に目の敵にされた生徒が、親経由で贈り物をしてもらい、待遇が劇的に改善された等という記録は、読んでいて実にほほえましい。
また、法律には当時の人々の価値観、正義感がはっきりと表れていて、そして想像以上にしっかりしていて驚かされる。
なお、8章は当時の神話物語の簡単な紹介。
紹介している内容に偏りがあるものの、もとより新書版の入門書ではある程度仕方のないこと。
メソポタミア文明に興味をもった人が読めば、より興味を掻き立てられる。そんな一冊。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
歴史
- 感想投稿日 : 2014年5月15日
- 読了日 : 2014年5月15日
- 本棚登録日 : 2014年5月15日
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