国境三部作の2作目。
本作もアメリカ西部に住む少年が、メキシコへと越境し、数々の苦難の冒険を経験するという粗筋である。
が、こちらは『すべての美しい馬』以上に強烈な喪失の物語である。
主人公ビリーの3度にわたる越境が描かれるが、そのたびに近しいものを失っていく。失われていくものを何とか取り戻そうとしても、全ては逆効果、予めそう決まっていたかのように失っていく。
主人公の喪失の物語の合間に3つの挿話があるが、それも全て主人公の運命を示唆し、主人公の孤独を強調するかために配置されているのは明白である。
しかし、何故か陰鬱な雰囲気、悲しげな雰囲気はない。全ては淡々と進んでいく。
西部のカウボーイという、失われし時代、失われていった人種、失われた社会を象徴しているのかな、とも思うが、もっと宗教的なテーマなのかもしれない。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
アメリカ・カナダ文学
- 感想投稿日 : 2010年5月6日
- 読了日 : 2010年5月6日
- 本棚登録日 : 2010年5月6日
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