越境 (ハヤカワepi文庫 マ 1-2)

  • 早川書房 (2009年9月10日発売)
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本棚登録 : 292
感想 : 23
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国境三部作の2作目。
本作もアメリカ西部に住む少年が、メキシコへと越境し、数々の苦難の冒険を経験するという粗筋である。

が、こちらは『すべての美しい馬』以上に強烈な喪失の物語である。
主人公ビリーの3度にわたる越境が描かれるが、そのたびに近しいものを失っていく。失われていくものを何とか取り戻そうとしても、全ては逆効果、予めそう決まっていたかのように失っていく。

主人公の喪失の物語の合間に3つの挿話があるが、それも全て主人公の運命を示唆し、主人公の孤独を強調するかために配置されているのは明白である。

しかし、何故か陰鬱な雰囲気、悲しげな雰囲気はない。全ては淡々と進んでいく。

西部のカウボーイという、失われし時代、失われていった人種、失われた社会を象徴しているのかな、とも思うが、もっと宗教的なテーマなのかもしれない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: アメリカ・カナダ文学
感想投稿日 : 2010年5月6日
読了日 : 2010年5月6日
本棚登録日 : 2010年5月6日

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