子どものこころとことばの育ち (子育てと健康シリーズ 20)

  • 大月書店 (2003年10月10日発売)
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著者は言語聴覚士の方で、この本は主に子どもの言葉の遅れを心配している人に向けて書かれているが、一般的に子どもがどうやって言葉を獲得していくのかについてわかりやすく書かれており、対応の仕方なども保育士として参考になるところが多かった。

いいな、と思った言葉や、参考になるところを抜き書き。

There are no mistakes. There are only lessons.
失敗というものはない。あるのは学びだけだ。(27)

なにかができるようにしてあげよう、なにか能力をつけてあげようと努力する過程を、大人と子どもが共有していく。結果的には、そのことができるようにならないかもしれないけれども、できるようにしてあげようと思っている大人といっしょにいるこの時間自体がうれしい、そういう時間を共有すること(29)

大脳辺縁系のなかには、海馬といわれる記憶をつかさどっている場所があり、おもしろいと思うときには、海馬のはたらきが高まる。記憶は引き出しのようなものなので、おもしろいと思うときには、その引き出しがすべりがよくなり、いっぱいに引き出される。そこにべんきょうしたことをしまって閉めればらいしゅうになってもちゃんと覚えていられる。(40)

乳幼児健診は検索し診断する検診ではなく、健やかさを診査する健診(55)

テレビなどの音が常にバックに流れていることによって聞く、集中するというはたらきが育ちそこなう可能性がある。脳のなかの電線のある場所には切り替えスイッチがあり、自分が興味をもつ音が入ってきたらスイッチをいれて脳まで送り届け、興味のない音はスイッチを切っている。(59)

ことばの遅い子や集中力の乏しい子に対しては、遠くから大きな声で何回も声をかけるより、近づいて耳元で「○○ちゃん、今からなになにするよ」と話してあげるほうがわかりやすい。(62)

「ほら見てごらん」と言って子どもの注意をこちらに向けさせ」ほらバナナだよ」と教えるより、子どもが見ているものについて話してあげるほうがいい。(65)

触覚の働きに「防衛系」のものがあり、子どもによってはそのスイッチが常にオンの状態になっているような子がいると考えられる。だから何が触ってもびくっとしてしまう。(82)

感覚統合(85)

世の中の大半の人はまだまだ「ことばが遅ければことばを教えればいい」と単純に思っている(92)

障害や発達の遅れやその心配があるとしても、「大丈夫、みんなでやっていこう」と言ってくれるのが、ほんとうの文明社会なのだと思う(93)

どんな子であれ、どんな親であれ「責めない」ことが原則。
「上手でない」お母さんも、とても育てやすい、発達の早い子を持っていたら、とてもじょうずな子育てができていたかもしれない(107)

親の接し方にいろいろな欠点があるとしても、それを正面から直すようにと指摘するのではなく、そのなかで「よりよい方向」を探し出し、実行可能なことを見つけ、具体的なアドバイスをする。(108)

発達の遅れがあろうとなかろうと、子どもを評価の目でみない。
「今」「ここ」にいることそれ自体を楽しむ態度が必要(127)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2012年10月29日
読了日 : 2012年10月29日
本棚登録日 : 2012年10月29日

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