正直な感想は序盤は退屈かつ、時系列が複雑な場面転換についていけず読みづらかった。
しかし、最後まで読むと、序盤〜中盤までのつかみどころのない話が意味を持つ。
繰り返して読みたい作品のひとつになった。
はっきりとした起承転結があるわけではないので、他の感想でもあるように退屈と感じるかもしれない。王道の小説(事件があってそれを解決するような)が好きな人には向かない作品だなとは思う。
裕福な家庭の〇〇(主人公)が大学院で修論を書きながら、大学院の友人たちとの交流やハッテン場で相手を探し行為をいたすのはとても詳細だが淡々としていて、失礼ながら「THE自堕落な生活」。
その中で、フランス思想や荘子など哲学が入り乱れるので、アンバランスさを感じる。
ネタバレになるので細かくは書かないが、後半、窮地に立ち始めると主人公がちゃんと血の通った人物に感じ、急に人間味を帯びてくる。
だからといって、困難を乗り越えるようなサクセスストーリーが展開されることはない。
我々の日常事件はあっても、目に見えた起承転結もあるはずもなく、その中でどう考え、どう生きていくのか、そんなリアルさをもった作品だとも感じた。
そこを経て、再読するとまた深みが生まれそうな予感がするので、間を開けてまた読みたい。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年3月31日
- 読了日 : 2023年3月24日
- 本棚登録日 : 2023年3月19日
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