必読。ただその一言です。
名手・津原泰水の手になる短篇「五色の舟」(短篇集『11』所収)、そのコミカライズですね。
見世物一座の少年、和郎を語り部とする本作は、原作からして傑作といえるものでした。津原泰水一流の高密度な文体を見事に視覚化した本書もまた、原作に勝るとも劣らない素晴らしいものです。
いずれも何かしらの欠損を抱えながら、互いに「家族」として日々を過ごす見世物一座の人々。彼らが出会う、未来を予言するという化生「くだん」。そして和郎が見る「五色の舟」の夢……あくまで静かに語られる物語の末に和郎たち家族が迎える運命は、幸福でいながら喪失感に満ちています。
わけても終盤のモノローグ、そして最後に描かれる俯瞰の構図はあまりにも切ない。和郎と、彼の半身ともいえる少女・桜のやり取りが強く胸に迫ります。
とにかく読め、としかいえない一作。是非。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2014年4月5日
- 読了日 : 2014年4月4日
- 本棚登録日 : 2014年4月4日
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