何度目かの再読。
今もって色あせることのない名著です。戦前、戦中、戦後の江戸川乱歩作品から世相を、時代の動きを、そして東京の変化を読み取る手腕はさすがの一言。特に屋根裏の散歩者を「自らの視線に追い詰められた」男と結論した第二章は出色でしょう。
卓抜した都市論にして文芸評論という本書の価値は今もって全く廃れていません。
『乱歩と東京』原著からおよそ三十年。文庫化からも二十年が経過しようとしています。文庫版の解説を担当した種村季弘も既に鬼籍の人であり、東京もまた大幅に姿を変えておりましょう。本書を手に乱歩と往事をしのぶのも一興かと。
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- 感想投稿日 : 2013年10月28日
- 読了日 : 2013年10月28日
- 本棚登録日 : 2013年10月28日
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