初期短篇集2巻。冒頭3作品は「創竜伝」のプロトタイプとの事。他の作品も含め、これ一冊で様々なジャンルの短篇を楽しむことができる。「ブルースカイ・ドリーム」「銀環計画」が特に好み。どちらも映像化したら面白そうだ。通して2冊の短篇集を読んだことで、田中芳樹ブームが来てしまった。まだ未読の作品がたくさんあるので、少しずつ読んでいこう。

2021年8月31日

読書状況 読み終わった [2021年8月28日]

初クリスティ。砂漠の真ん中のレストハウスで数日間足留めを余儀なくされたおばさんがあれやこれやと思い悩む物語。何かにつけて自分に都合の良い解釈をするジョーンに終始イライラした。最終的に悔い改め、ロドニーに赦しを乞おうと決めたのに、あの態度はいったい…。何もかも分かって受け止めているロドニーが不憫になってくる。またファーストチョイスを誤ったようだ。

2021年8月18日

読書状況 読み終わった [2021年8月14日]

SF好きなら避けては通れぬ砂漠の惑星。ヴィルヌーヴ監督の映画が公開される前にと読み始めた。惑星の覇権を巡るスケールの壮大さ、また宗教的・精神的で重厚な世界観に惹き込まれる。遥か未来の物語だが、PCやAIが禁止・拒絶された世界で、メンタートと呼ばれる演算能力を訓練した者が指導者を補佐する。皇帝の意によるアトレイデス家とハルコンネン家の惑星アラキスを巡る対立の中で、徐々に自分の能力と使命に目覚めていく公爵の息子ポールの成長譚でもある。先にリンチ版の映画を観ていたためか、スムーズに世界観に浸ることができた。

2021年8月12日

読書状況 読み終わった [2021年8月11日]

田中芳樹氏の初期短篇集。よく考えてみると、銀英伝とアルスラーン(当時発刊されていたところまで)、創竜伝を少し読んだだけで、後はまるで読んだことがない。短篇などは本当に初めて読む。40年以上前の作品なので多少の古さはあるが、アシモフやブラッドベリっぽいテイストも感じるとても硬派なSF作品だった。「流星航路」「懸賞金稼ぎ」あたりが好みだったが、どれもハズレなし。

2021年8月10日

読書状況 読み終わった [2021年8月8日]

出張で訪れたメキシコの古書店で、偶然手にした一冊の本「黒曜石雲」。そこにかつて暮らした街の名を見つけた事をきっかけに、物語が主人公の過去へと展開していく。スラムで生まれ、恋に破れ逃げるように世界を転々とし、各地で様々な人と出会い別れ、流されるように生きたハリー。時々「黒曜石雲」の調査の進展が挟み込まれ、アクセントとなる。数奇な彼の人生は、多くの偶然(必然?)に弄ばれ、幸福と過去の恋愛へのパラノイアの間で揺れ動く。物語の語り手であるハリーの、雲のように流れる人生を追体験でき、良い読書体験ができた。

2021年8月2日

読書状況 読み終わった [2021年8月1日]

真那の招きに応じ、安房那を訪れたホッサルとミラル。患者の治療を通じてオタワル医術と清心教医術の違いを改めて感じる二人。そして清心教医術の源流の地、花部訪ねる旅を通して、ホッサルもミラルもオタワル医術に無い新たな視点を得る。次期皇帝を巡る複雑な政略、オタワル医術と彼ら二人の未来をも巻き込み物語が展開する。ホッサルと医術をメインに据えたことで本編のような行ったり来たりの中途半端感がなくなり、すっきりと締まった良作となった。ラストは二人の行く末も想像できる爽やかな読後感。

2021年7月5日

読書状況 読み終わった [2021年7月2日]

キノとモトラド(バイク)のエルメス、1人と1台のロードノベル。3日間縛りでいろいろな国を旅してまわるが、だいたい胸くそ悪い国。キノもひたすらひねくれているが、旅に出るきっかけになったエピソードの事を考えるとそれもやむなしか。やはりライトなノベルは物足りない。

2021年6月25日

読書状況 読み終わった [2021年6月24日]

あっという間に上巻を読み終えた。宇宙が高度にネットワーク化された世界。人類最後の生き残り「娘のサーヤ」。雑多な異種族や知性体がひしめくウォーター・ステーションで、どういう訳か殺戮兵器のようなウィドウ類の母シェンヤと暮らしていたが、人類であるがためにトラブルに巻き込まれ故郷を失うことになる…。母シェンヤの異形の姿からは想像できない優しさと、娘を想う気持ちが印象に残る。そのままPIXARあたりでフルCG映画化できそう。著者によるコミックも紹介されているのでぜひ。

2021年6月19日

読書状況 読み終わった [2021年6月19日]

いつか読まねばと思いながらもなかなか手が伸びなかった本作。全体主義的超監視社会を生きるウィンストンが主人公。自分以外は家族であっても信じることのできない世の中。反抗心を隠し、いつ消されるかという恐怖を感じながら、しかし自分と同じ考えの人がいるのではと考える。ジュリアと出会い、つかの間現実を忘れ希望を抱くが…。価値ある作品だとは思うが、将来本当にこんな世界になったら嫌なので正直二度と読みたくない。

2021年6月17日

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読書状況 読み終わった [2021年6月16日]

八島氏の作品を読むのはこれで短篇3作目。本作は高性能生体AIによって21日後に全人類の意識が停止することが予測された世界で、人類の意識を加速させることで体感時間を延長しその解決を探ろうというはなし。でも結局アタラクシアの原因も分からないし、伽奈も謎だし、研究所に乗り込んできた武力集団も?だし。要するに短篇では収まっていない様なので、もうお願いします長編が読みたいです。

2021年6月10日

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読書状況 読み終わった [2021年6月10日]

恒川氏初読。三つの短篇からなる本作は、いずれも「何かに囚われる」はなし。とある秋の一日を何度も繰り返す「秋の牢獄」、一定期間で日本中を移動する家に縛られる「神家没落」、幻術を引き継いだ女の子がそれを利用しようとする組織に囚われる「幻は夜に成長する」。中でも「神家没落」の設定が非常に面白く、自分ならこうしたい、こうするのに、といった妄想が捗る。恒川氏の別作品「スタープレイヤー」あたりも積んでいるので、また読んでみたい。

2021年6月8日

読書状況 読み終わった [2021年6月8日]

戦記物が読みたいなと思い手に取った。これまでに読んできた同類の作品と比べれば、世界観や人物描写にやや物足りなさは感じるが、分かりやすいファンタジー作品となっている。全てを奪われ奴隷として遠い異国へ売られ、そこで頭角を現し国の騎士となっていく主人公カイエン。成り行きか運命か、その国の太守となる若き娘マイを護る。単なる戦記物と一線を画するのは「人ならざる力」を使う者たちが出てくる点。炎を操る力、時空間を自在に操る力など。ロードス島戦記やアルスラーン戦記あたりを読んでいた頃のワクワク感を思い出させてくれる良作。

2021年6月5日

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読書状況 読み終わった [2021年6月5日]

海と、山と、時々ネコチャンと。遠くない未来の台湾を舞台とした喪失の物語。大学教授で物書き志望のアリスを主人公に、アトレやトム、ダフやハファイ、さらにデトレフとサラなど、たくさんの人々が渦を巻き、現実と空想との境界を越えて物語がパッチワークの様に紡がれる。海と共に生きるワヨワヨのアトレ、山に魅せられ山消えたトム。アリスはそれぞれと繋がりを持ち、そしてまた失っていく。トトも果たして…。俯瞰的な場所から複眼人の見るこの世界はどう映っているのだろうか。静かな雨の日に読みたい一冊。

2021年6月4日

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読書状況 読み終わった [2021年6月3日]

鹿の王、最終巻読了。国や民族、また裏の世界の人々の闇。目に見えぬ病と、それを使った復讐。いろいろと絡まり合っているようで意外とシンプル。「医療系ファンタジー」というのは良かったが、いかんせん人物描写が薄く物語が淡々としすぎだったのでは。ラストも少し肩透かしを食った感じ。キンマの犬を連れて森の奥に去って行ったヴァンとそれを追って行ったサエら。爽やかな終わり方の様にも思えるが、何だか何も解決していなくて消化不良。3巻まで読んだ時点で「これあと1巻で終わるのかな?」と思ったが、やはり続編ありきだったのかな。

2021年5月10日

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読書状況 読み終わった [2021年5月8日]

キム・スタンリーロビンスン初読。ちょうどNASAの火星探査車「パーシビアランス」が火星に着陸し、火星のリアルタイムな様子が送られてきたりして良いタイミングで読み始めたなと思う。本作はとにかく長く、細かい。まるでドキュメンタリーだ。これが著者のスタイルなのか?(多分そう!)だとしたらブルー・マーズまで果てしないぞ。とは言え、惑星開発をメインに人間ドラマや政治的な駆け引きを織り交ぜながら、新興宗教や長命テクノロジーの開発など、かなりのボリュームがあり読者を飽きさせない。最初の100人が、何もないところから火星をどう開発していくのか。ロビンスン版火星年代記を楽しんでいきたい。

2021年4月10日

読書状況 読み終わった [2021年4月9日]

故郷を追われた火馬の民と黒狼熱が結びついてきた。そして思ったより複雑な東乎瑠とアカファの関係。国と国(属国)、民と民、様々な思惑が入り混じって話は進む。山地民に捕らえられたホッサルと、さらわれたユナを探すために火馬の民に出会った流れから、サエと共にユカタ平原にたどり着いたヴァンがついに出会う。なんかね、サエがいい(個人の感想です)ここからいよいよ最終巻に続くが、もしかして題名がネタバレになっていないかちょっと心配。

2021年3月27日

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読書状況 読み終わった [2021年3月26日]

冲方氏ほぼ初読み。たしかマルドゥックの短篇を読んだことがある程度。SF作家のイメージだったが、時代物もけっこう出されているのね。渋川春海を主人公に、江戸時代の算術と改暦というなかなかにマニアックなテーマながら、堅苦しさも無く大変読みやすい作品。若き頃の北極出地を起点とし、それまでの碁打ち人生から暦の改暦へと至る彼の生涯が描かれている。様々な苦難に遭いながら、どん底に落ちるメンタルの弱さも見せるが、彼の人生を変えた建部や伊藤、保科や酒井、そして関の想いを受けつつ這い上がっていく晴海の姿が印象に残った。

2021年3月16日

読書状況 読み終わった [2021年3月16日]

相変わらず丹念に描かれた世界に引き込まれる。にわかに医療小説みを帯びてきた第二巻。ヴァンは谺主に呼ばれ、故郷近くの集落へと赴く。ホッサルは黒狼熱(と思われる病)の治療から、その起源を辿る旅へと出る。両者には動きがあったが、ヴァンとホッサルは未だ交わらず。いまいちよく分からないのは、ヴァンとユナの「裏返し」という状態。岩塩坑で噛まれた事が原因だと思われるが、なぜそうなるのか等は明かされていない。それぞれ気になる場面で三巻へ続く。

2021年3月15日

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読書状況 読み終わった [2021年3月12日]

精霊の守り人もそうだったが、上橋氏の作品は読者をその世界にすっと入り込ませる。架空のファンタジー作品なのに、どこか私達の世界観に近い設定がそうさせるのかもしれない。ヴァンとホッサル、両主人公双方の視点から黒狼熱という疫病の謎を追っていく。岩塩鉱から逃亡したヴァンのトマと出会ったあとの日常生活がとても心安らぐし、亡国の医術師ホッサルも謎が多くて魅力的。しかし章の途中で二巻へ続くとかもうちょっとどうにかならなかったのかな(文庫も上下巻でいけたのでは…)

2021年3月1日

読書状況 読み終わった [2021年2月28日]

上巻読了後、我慢できずに映画を再視聴。結果、いまいち理解できていなかった部分も補足できて良い読書となった。上巻の感想で、映画は原作に忠実と書いたが、予告編がそういう風に編集されていただけと気づいた。著者のあとがきで映画について触れられているのと、役者のあとがきで本書の構造が語られているので、訳わからなくて挫折するくらいならいっそのこと映画を観て、さらに構造を知った上で読むと良いかもしれない。下巻は時系列を遡って過去へと話が進むが、上巻それぞれの物語がより明確にどんな話だったのかが理解できてくる。よくある最後にすべての物語がひとつに収斂していく、という形ではないところが逆に良いのかもしれない。

2021年1月18日

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読書状況 読み終わった [2021年1月18日]

本書を知ったきっかけは何だっただろう。たしか伴名練氏の「1万字メッセージ」で言及されていたからだと思う。上質な作品(特に短篇)が時と共に散逸し、埋もれていく事を危惧されていた。氏のメッセージでそんな作品たちに再び日があたり、こうして読むことができた。本書の中で一番のお気に入りは「見果てぬ風」。巨大な二つの壁に挟まれた世界、壁の途切れるところが見たい一心で、歩いて世界の果てを目指す男の話。次に「電線世界」。頭上10mほどのところで繰り広げられる日常。そんな、まさかと思える設定ながら、あまりにも淡々と書かれているので、電線の上に人が住んでいるのが当たり前の様に思えてくる。そして飛魚が少し羨ましい。kindle版がお手頃価格なので、ぜひたくさんの方に読んでいただきたい。

2020年12月27日

読書状況 読み終わった [2020年12月27日]

covid-19流行後に書かれた、感染症と地域紛争を絡めた極めてリアルな作品。舞台は2038年、カザフスタンと中露国境付近にある難民キャンプ。コロナ後も様々な感染症を経験しながら少しずつテクノロジーが発達した世界。感染症を戦争や紛争の道具に使うというのは、近い将来本当に現実に起こりそうで怖い。…すでに使われている?それにしても、握手に代わる「拱手」良いかもしれない。中国をはじめとするアジア(沖縄含む)の伝統的な挨拶らしい。

2020年12月21日

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読書状況 読み終わった [2020年12月19日]

ファウンデーションは何冊か読んだが、アシモフのロボット物は初読み。ロボット嫌いの人間ベイリと人間そっくりなロボット、ダニールの刑事コンビが、宇宙都市内で起きた殺人事件を追うバディ物のSFミステリ。全編通してベイリの異様に神経質な感じが多少気になるが、ダニールの冷静さ(ロボットなので当たり前)で相殺される。70年近く前の作品という事でガジェットは古くさいが、人間の本質的な部分は変わらないし、未来もそうなんだと思わせる。本作で出てくる宇宙都市に住む宇宙人は、遥か昔に地球を飛び出し宇宙へ進出した人類の末裔ということで、少々ややこしいがそこがミソでもある。殺人事件が地球人に変革をもたらす話に飛躍していこうとは、読み始めは想像できない。そこはさすがアシモフと言うべきか。

2020年12月16日

読書状況 読み終わった [2020年12月15日]

映画はずいぶん前に観ており大好き。細かい内容は忘れていたが、予告編を改めてyoutubeで観てみると、かなり原作に忠実だったことが分かる。過去から未来への時間軸に沿って、6つの物語が展開される。それぞれとっつきにくいが、慣れて面白くなった頃に一つの物語が終わる。一応各章の繋がりはあるが、前章が本や映画の題名として出てきたり、その程度。一つひとつの物語は面白いが、繋がりが希薄なためにこれが一体下巻でどのように収斂していくのかが楽しみでならない。難解という感想が多く読むのを躊躇っていたが、慣れればそうでもない。要は相性のようだ。個人的には「5章ソンミ451→6章スルーシャの渡し」の流れが好み。え、これビル・ゲイツのオススメなの??

2020年11月20日

読書状況 読み終わった [2020年11月19日]
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