いわば項羽と劉邦の物語なんだけれど、ここでの主人公は軍事の天才で、常勝将軍と讃えられた韓信が務める。「背水の陣」や「四面楚歌」の語源由来を学ぶ。項羽に仕えるも重用されずにその配下から離れ、劉邦の下で頭角を現すが降格に次ぐ降格で反乱を起こし、ついには呂后の手にかかる。「韓信の股くぐり」なる不名誉な行為さえ、教訓めいた故事として伝える将軍。平民から斉王にまで上り詰めた男なれども、その虚しい最期は彼が謙虚さを欠き、自らの功を誇ったことに因ると著者は括る。そうだろうか。項羽にせよ劉邦にせよ、有能な部下ほど畏れて遠ざけ、挙げ句に処刑するんだもの。
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- 感想投稿日 : 2018年5月11日
- 読了日 : 2018年5月11日
- 本棚登録日 : 2018年5月11日
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