京のほたる火 京都犯科帳 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2010年10月15日発売)
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4

京を舞台に、捕縛する者の側ではなく、捕らわれる者の側から描いた犯科帳。8編の短編を収録している。貧しく逆境にありながらも、懸命に働く名もない人たちの姿に、胸がジーンとくる。

「けん玉売り」
けん玉売りの親方とその弟子の音吉は、京の町にやってきた。二人には人には言えない、もう一つの仕事があった。危ない橋を渡ろうとした…。

「綱道」
父を事故で亡くした、高瀬川の舟曳き人足の直吉は借金のかたに、大坂に売られていくことが決まっていた。病気の母と引き裂かれることに耐えられない二人は、町から逃げることに…。

「ぬすびと面」
能面を彫る面打師の文吉の家に、盗人が入り、赤子を押しつけて「大切に育てろ」と包丁を抜いて脅す。文吉と女房のおふじは一緒になって七年になるが子どもはなかった…。

「火つけ」
大工の息子千吉は、盗人の疑いから仕事がなくなり、毎晩、酒を飲んで遅く帰ってくる父が、火付けをしているのではないかと、懸念を持ち、その後を追うが…。

「車師」
荷車の車輪ばかり作る単調な仕事に飽きた車大工の万吉は、家を飛び出して、京に上り、車師の家を訪ねるが…。

「送り火」
菓子作りの修業中の左吉は、父が献上の上菓子「大文字」を作っている途中に倒れて死んだことを知らされ、わが家へ戻った。しかし、父からはまだ、その「大文字」の作り方を受け継いでいなかった…。

「二番糸」
丹波から西陣に奉公に上がった平吉は、風邪の同僚の伊助の代わりに、藤五郎という腕がいいと評判の織り手の高機(下で織る者と上で糸を引く者の二人で動かす織り機)に初めて乗ることになった…。

「おけらまいり」
丹後の浜辺の村から京都の酒屋に出稼ぎできて、駆け落ちをして故郷に帰らぬ父を探しにやってきた、十二歳の新吉は、同じ酒屋で下働きとして働いていた…。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 市井
感想投稿日 : 2010年11月1日
読了日 : 2010年11月1日
本棚登録日 : 2010年10月29日

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