零式艦上戦闘機
航空機史上、世界で最も有名と言っても過言では無く、またその優秀さは戦後、アメリカが日本の航空機開発を禁じた事からも明らかであろう。
その主任設計者自らが、構想から実戦投入までを克明に記載したのが本書である。
軍部から幾つもの不可能と思われる性能要求を突きつけられたにも関わらず、決して諦める事無く、妥協せず、しかし適切に優先順位を熟慮して、稀代の戦闘機として具現化したその精神、姿勢は、私も同じ技術者の端くれとして正に鑑とするものであり、未だに日本のモノづくりの精神として継承されていると信じたい。
最後に著者の言を引用する。
「私の武器は、納得がゆくまで自分の頭で考えることだった。裏づけのない議論のための議論はきらいで、実物と実績で見てもらいたいという主義だった。」
「技術者の仕事というものは、芸術家の自由奔放な空想とはちがって、いつもきびしい現実的な条件や要請がつきまとう。しかし、その枠の中で水準の高い仕事をなしとげるためには、徹底した合理精神とともに、既成の考え方を打ち破ってゆくだけの自由な発想が必要なこともまた事実である。」
正に至言である。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
兵器
- 感想投稿日 : 2016年5月29日
- 読了日 : 2016年5月29日
- 本棚登録日 : 2016年3月13日
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